シャープは鴻海グループ以外のスポンサー探しを続けるも、出資交渉は進まず、今年9月に迎える2000億円の社債償還が刻一刻と迫っている Photo by Takahisa Suzuki

 ついに交渉のタイムリミットまで、1カ月を切った。

 「私たちのハイテク技術に対する憧れは持っているはずですが……。彼らは長い時間軸でビジネスを考えますからね……」

 シャープの経営幹部は2月下旬、台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手、鴻海グループと続けてきた出資交渉が、もはや期限内には成立しないであろうことを、本誌に匂わせた。

 昨年3月、巨額赤字によって窮地に陥った同社は、新たに株式を発行して鴻海グループから669億円の出資(1株550円で9.9%相当)を受けることで基本合意。3月26日を、その期限としていた。

 最先端の液晶パネルを作る堺工場こそ、双方の合弁会社として設立に成功したが、シャープ本体は赤字が止まらず、株価は一時140円台まで低迷。経営関与をめぐる相違もあり、出資交渉は冷え込んでいった。

 「鴻海グループとの交渉に、もはや相互のメリットはない」

 社内にそんな声が漏れ始め、銀行団が求める中期経営計画は「鴻海抜き」で練られていった。

 ところが、当初予定していた2月を過ぎても、その経営計画が発表できずにいる。

 「稼ぎ頭が、来年度には赤字になってしまう可能性すらある」

 あるシャープ関係者は、会社の屋台骨を支える「白物家電」と「複写機」の2本柱が、急に円安に振れている為替相場で大きく失速するリスクが、社内で大問題になっていると明かす。