富豪から倒産・一家離散へ…「うちは老舗」が口癖のマウント社長夫人が犯した致命的ミスモナコ公国で暮らすエミチカさん(本人提供)

「お金持ち」と聞いて、パッと思い浮かぶのは経営者でしょうか。それもメディアに出てくるような上場企業の経営者だったりするかもしれませんが、実際のお金持ちは、もっと近くに大勢いる可能性があります。特集『富裕層の「お金の大失敗」』の#8では、エミチカさんが出会った、地域に根付いた中小企業を経営する、羽振りのいい夫婦について語ります。(実業家 エミチカ)

ある創業家のお金の使い方
お金持ちは意外とそばに…

「お金持ち」といえば、大企業の社長や上場企業の役員クラス、プロ野球選手やYouTuber、芸能人といった華やかな職業の人たちをイメージする人が多いでしょう。日本で1億円以上の役員報酬を得ている役員は717人(2023年3月期決算の有価証券報告書を提出した上場企業は2342社・東京商工リサーチ調べ)いるそうです。でも、これもあくまで上場企業の話。

 大半の「お金持ち」の正体は、彼ら・彼女らではありません。街を歩いていて道行く人に気づかれる存在でもありません。

 お金持ちの多くは、大手メディアに名前が出ることもない人たち。中小企業のオーナー経営者です。

 なかでも裕福なのは、一代で基盤を築いた創業者の後を継いだ2代目、3代目。顧客をつかんだ主力の商品・サービスと堅実な取引先があり、社員、店舗、工場なども整い、地元金融機関や地域からの信用も得て、革新的な経営や画期的な新商品・新サービスとは無縁でも、社業は安定。2代目、3代目の結婚相手を地元の名家から迎えた上で経営陣をファミリーで固め、創業家は豊かになっていきます。

 今回、私が紹介するお金持ちの失敗の主人公は、まさにそんなファミリービジネスを行う「4代目社長の奥様」です。

 出会ったのは私が“院長の奥様”だった時代(参照『「1億円の使い道」でバレる富裕層から転落する人、モナコ在住日本人が見た自己破産の末路』)で、子どもの年齢が近いこともあってすぐに意気投合しました。そして、会食やゴルフに招かれるうち、自然と社業の様子やプライベートでのお金の使い方も伝わってきました。