1970年代の石油輸出国機構(OPEC)による対米石油禁輸から昨年のロシアによる西欧へのガス供給停止に至るまで、不道徳な体制が戦略的目標を追求するために石油やガスの支配を武器にしてきた。グリーンエネルギーへの移行は、石油とガスという武器を永久に無力化する可能性を秘めている。しかし、単に今の形のコモディティーへの依存とその地政学的足かせが別の形に置き換わるだけかもしれない。風や太陽、水素は無料だ。しかし、それらをエネルギーに変換し、電池に貯蔵し、送電する装置には大量の鉱物が必要であり、その供給は石油やガスよりも偏りが大きい。S&Pグローバルのデータによると、コンゴ(旧ザイール)は世界のコバルト埋蔵量の43%を、アルゼンチンはリチウムの34%を、チリは銅の30%を、インドネシアはニッケルの19%をそれぞれ保有している。いずれもサウジアラビアの世界の石油生産量に占めるシェア(12%)や、ロシアの天然ガス生産量に占めるシェア(16%)を上回っている。
中国の鉱物資源「武器化」、効力は?
地理的条件や技術革新で石油・ガス支配ほど有効でない可能性
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