「男の乳がん」をご存じですか?1000人に1人だからこそ怖い思い込みピンクリボンは、乳がんの早期発見の重要性を呼びかける世界共通のシンボルマーク (写真はイメージです)Photo:PIXTA

乳がんは女性のがんの中では罹患率トップですが、男性では生涯を通じて1000人に1人しかかからず、男性にとっては「希少がん」となります。しかしそれだけに「男が乳がんにかかるはずがない」と誤解している人も多く、初期症状があっても診察を受けるのが遅くなりがち。万が一かかったとき早期発見につながるよう、日頃からできることを専門医が教えます。(取材・文/フリーライター 伊与田慶子)

男性ミュージシャンが乳がん
世間に衝撃が走った

 2023年8月にミュージシャンのブラザーコーンさん(バブルガムブラザーズ)が乳がんであると公表しました。


この度、私Bro.KORN(ブラザーコーン)は
体調不良で検査の結果、乳癌と診断されました。
自分でも寝耳に水でしたが、この現実を真摯に受け止め乳癌の治療に専念する事にいたしました。
(中略)
来年は元気になり、リベンジライヴを必ずやりますので変わらずの応援をお願いいたします。

(Bro.KORN Officialフェイスブック、2023年8月29日の投稿より)

 このニュースによって、男性でも乳がんにかかるということを初めて知った人も多いのではないでしょうか。

 国立がん研究センター中央病院腫瘍内科科長で乳がんの専門医の米盛勧先生によると、「実際に診察や検査に来る男性の患者さんは『なぜ男である自分が乳がんになったのだろう』と疑問に思っている人が多いですね。“男の乳がん”は広く認識されていないと感じます」とのこと。

「男女の体の違いから、女性は前立腺がんになりませんし、男性は卵巣がんにはなりません。しかし、男性にも乳首はありますし、乳腺組織があります。当然、そこにがんが発生することもあり得るわけです」