2学期が始まった早々の9月初旬、給食サービス事業の(株)ホーユー(広島市)が事業を停止した。各地の学校や学生寮、企業、官公庁などで事業を展開しており、事業停止のニュースは瞬く間に全国を駆け巡った。契約する学校や施設が対応に追われる中、9月25日、同社は広島地裁から破産開始決定を受けた。コロナ禍による学校の休校に加え、食材や光熱費が上昇したことによる価格転嫁が困難となったことが経営に追い打ちをかけた。公共サービスの意味もある学校給食は、コロナ禍からの円安、原材料高、人手不足で、厳しい経営環境に置かれている。東京商工リサーチはホーユーの経営危機が発覚した直後、全国の給食事業者を対象に業績動向を調査した。第二のホーユーが出現するのか、給食サービス事業者の現状と課題を見ていく。(東京商工リサーチ情報部 二木章吉)
2022年度決算で
赤字企業が増えた理由
全国の「給食事業者の業績動向」調査によると、給食サービス事業者の2022年度(2022年4月期~2023年3月期)決算は21.6%の事業者が赤字だった。コロナ禍の行動制限が解除され、企業や学校ではリモートから通常の活動に戻ってきた。給食・配食需要も急速に高まったが、営業活動が本格化すると事業者の赤字率は前期の21.0%から0.6ポイント上昇した。
この背景には、急速な円安に加え、原材料価格や光熱費の上昇が重しになっていることが大きい。関東に本社を置く売上高50億円以上の中堅業者は、学校の給食センター以外にも、社員食堂や福祉施設などからの受注も堅調で、2022年度は約3%増収と売上高を伸ばしたが、数千万円の最終赤字に転落した。提供するサービス価格が物価連動型でないだけに、高騰する原材料価格や運営設備にかかる光熱費負担の吸収は容易でない。
西日本の売上高10億円規模の給食サービス会社も、売上高が7%超の増収を果たしたが、赤字に転落した。学校・幼稚園・保育園の給食から高齢者施設の配食まで幅広く手掛けているが、給食事業者のサービス形態では急激な物価上昇に追いつかないことを示している。