有力な産業資材メーカーで、社会人野球の強豪チームを持つことでも知られる「カナフレックスコーポレーション」(大阪市北区、年商66億円)の経営不安が高まっている。これまでもたびたび支払いの変調などが取り沙汰されてきたが、ここにきて複数の工場不動産に債権者の金融大手、オリックスが「仮差し押さえ」に踏み切ったことがわかった。(東京経済東京本部長 井出豪彦)

カナフレックスから
関係先に送られた文書

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 カナフレックスについてダイヤモンド・オンラインでは昨年12月掲載の記事『産業資材製造「カナフレックス」の取引先を不安に陥れた“2通の文書”の中身』で、同社が取引先に急遽、注文書の宛先や振込先の口座をグループの別会社に変更してほしいと要請する文書を送付したことを報じた経緯がある。

 税金の滞納による所有不動産への「差し押さえ」なども表面化するなか、取引先の間では「カナフレックスの口座からカネを逃がして債権者による差し押さえを回避する思惑ではないか」との指摘も上がったが、取引先の反発もあり、結局、うやむやになったようだ。

 その後、今年に入ると、1月にカナフレックスから関係先に「ご報告」と題した、興味深い文書があらたに送付された。以下に引用する(ママ、一部伏せ字処理)。

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 今回、警察への被害届につき、御報告致します。
 昨年8~9月ごろから、お取引先への支払いの不備や、税金の未納等が発生したため、調査したところ、各種税金の納付書や仕入先、外注先からの請求書等の経理関係者による意図的な廃棄処理が確認されました。
 そのため、令和4年9月7日に大阪天満警察署刑事課による2度に渡る鑑識作業が行われ、弊社金庫から重要書類の紛失や総勘定元帳までも盗難にあっていた事が判明したため、被害届を提出し、受理されました。
 (受理番号 R4-XXXXXX番)
 さらに令和5年1月18日には業務妨害、横領、基幹システムデーターの破損により、更なる被害届を提出し、企業犯罪として正式に刑事事件として受理されております。天満警察刑事課知能犯罪課から広聴相談番号令和5-XX番として受理番号を発行して頂きました。
 (上記受理番号で天満警察署へお問い合わせいただければ確認可能です)
 なお、現在は原因が判明した事により、納付書、請求書等の再発行をして頂き、各種税金及びお取引先等へのお支払も正常に戻っております。
 また、関係者と思われる(現在逃走中)元社員につきましても、警察の捜査によって個人の特定及び逮捕も近いと思われます。

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