夜中に足がつった!頻発する絶望的な痛みに隠れている怖い病気このまま痛みがこのまま治らないのではないか……! (写真はイメージです) Photo:PIXTA

就寝中に突然ふくらはぎに激痛が走り、目が覚めることが増えていませんか? 年齢が上がるとともにその回数が増えて来たのは何か病気の前兆かも?「こむら返り」の起こる仕組みや、その原因、応急ケア、予防策、そして頻繁に起こる場合の怖い病気の可能性まで、脊椎・股関節外科の専門医が徹底的に解説します。(取材・文/ライター&エディター 楠本知子) 

足がつるメカニズムと
なぜ「こむら返り」と呼ぶか

「足のふくらはぎがつることを“こむら返り”と言いますが、これは正式な病名ではありません。正しい医学用語では『有痛性筋けいれん』という症状です」

 そう解説するのは、出沢明PEDクリニック理事長の出沢明先生。有痛性筋けいれんとは、筋肉が突然けいれんを起こして収縮し、痛みを伴ったまま動かせなくなってしまう状態です。

「腕や首、背中、胸、お尻など、筋肉のある場所ならどこにでも起こり得る症状です」

 こむら返りが起こるメカニズムには、人間の骨格筋に備わっている、腱や筋肉の縮みすぎを防ぐ「腱紡錘」と、筋肉の伸びすぎを防ぐ「筋紡錘」という2つのセンサーが関わっています。

「この2つのセンサーは、普段は私たちの意識とは無関係に働いてバランスをとっていますが、さまざまな原因で腱紡錘が正常に働かなくなり、筋肉が過剰に縮んでけいれんが起こってしまうことがあります。この症状を、筋けいれんと言います」

 こむら返りは、特にふくらはぎに起こる筋けいれんのことを指します。かつてふくらはぎのことを“こむら(腓)”と呼んだことからこの名前がつきました。

「若い時は水泳や山登りなどの運動時に起こる場合が多いのですが、40代を過ぎたあたりで、就寝中に突然起こることが増えてきます」
 
 一般的に人の筋肉量は20代をピークに年々減っていきます。足の筋肉には、歩行などで伸縮して血液を心臓に送り返し、体内に行きわたらせる働きがあります。足の筋肉が減ると血流が滞り、代謝も悪くなって、筋肉の収縮・弛緩を調節するミネラルのバランスが崩れてしまいます。これがこむら返りの原因となります。

 このほかにも、年齢とともに増える生活習慣病や、それに伴う薬の服用が原因となることもあります。