ここ数年、健康志向からの筋トレがブームとなっています。また、糖質は抑え、低脂肪・高タンパク食を心がける人も増えています。しかし、こうした人たちにこそ注意してほしい生活習慣病があります。それが「高尿酸血症」。尿酸値が高すぎる病態と、それによって起こされる痛風です。痛風と筋トレ・食べ物との関係から、“尿酸値高め”といわれたときの生活改善のポイントまで、痛風専門外来で多くの患者を診てきた医師が解説します。(取材・文/医療ライター 南雲つぐみ)
プリン体は悪者?
尿酸が体内に溜まるメカニズム
一般的に、尿酸値が高くなる原因には、プリン体を含む食品のとり過ぎが挙げられます。しかし、そもそもプリン体は体内に存在し、細胞の新陳代謝に関係している大事な成分なのです。では、尿酸の生成とどのように関係しているのでしょうか。
新しい細胞ができるとき、古い細胞は壊されて細胞内の核酸(DNA)からプリン体が放出し、尿酸に分解されます。尿酸は血中に入り、最終的には尿や便として排泄されますが、作られすぎたりうまく排泄されなかったりすると、体内に尿酸が溜まります。溜まりすぎて一定量を超えた状態が、“尿酸値高め”です。
体内に溜まった尿酸はしだいに結晶化し、関節の中にたまっていきます。この結晶が関節に炎症を起こし、足の指の先やくるぶしなどに突然激痛や腫れが起こる「痛風発作」や、尿酸の結晶が皮下にこぶをつくる「痛風結節」を引き起こすのです。
痛風患者の9割は男性で、発症が最も多いのは30~40代。そのうち6割は肥満とされています。また、痛風には季節性があります。
両国東口クリニック理事長・痛風専門外来の大山博司先生によると「初夏から9月ごろまでの気温の高い時期は、冬期に比べて患者数が約1.5倍も多い。これは体が水分不足(脱水)になりやすく、尿酸の排泄がされにくいことと、プリン体を多く含むビールや果糖を多く含むソフトドリンクの摂取が増えることが関係します」という。