健康診断で気になる数値が「コレステロール」と「中性脂肪」。高いと良くないとはなんとなくわかっているけど、自覚症状はないし、何か対策すべきかもわからない。そもそも中性脂肪やコレステロールは体内でどんな働きをして、数値が高いと私たちの体にどんな害があるのか。内分泌代謝の専門医に伺聞きました。(取材・文/フリーライター 楠本知子)
増えすぎると悪さを始める
30~40代は「コレステロール」や「中性脂肪」の数値が上がりはじめる年代。自覚症状がないからと放置している人も多いようですが、数値に異常をきたすと「脂質異常症」になる可能性があり、将来、「動脈硬化」や「脳梗塞」、「心筋梗塞」などといった恐ろしい病気になりかねません。
適切な対策を取るために、敵の正体――コレステロールと中性脂肪を正しく理解することから始めましょう。
コレステロールも中性脂肪も「脂質」の一種。健康診断の結果には、どちらも「脂質代謝」の検査項目に数値が書かれています。両者は体内でどのような働きをするのでしょうか。
「コレステロールとは、人体の細胞膜を構成する物質です。細胞の新陳代謝や体の機能調整に欠かせない副腎皮質ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモンの材料になったり、食事からとった脂肪や脂溶性ビタミンを消化吸収する胆汁酸を作ったりする役割があります」
一方、中性脂肪も、コレステロールと同じように、健康を維持するために必要な脂質。内臓周辺の脂肪組織に蓄えられて、食料不足の時や激しい運動をした時に使われます。また、外部の衝撃から内臓を守るなど、体を維持管理するために必要な物質です。
では、なぜ悪者扱いされるのでしょうか。
「適正値であれば問題はありませんが、増えすぎると体内で悪さをはじめるからです」