FRBは債券市場を信頼し過ぎPhoto:Alex Wong/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)には新理論がある。債券市場がFRBのために働いてくれているので、FRBは今年はもう利上げせずただ傍観していればいい、というものだ。

 これは素晴らしい理論で、ダラス地区連銀のローリー・ローガン総裁が先日開陳したものだ。米国債利回りと将来の金利予想の差、いわゆる「タームプレミアム」が足元で拡大していることで、金融環境が引き締まり、利上げと同じくらい景気を減速させるのだそうだ。同氏はFRB当局者の中ではタカ派寄りなため、トレーダーはこれを、利上げサイクルがピークに達した可能性を示唆していると解釈した。これを裏付けるように、フィリップ・ジェファーソンFRB副議長をはじめ他の当局者も同様の発言をした。

 債券利回りと住宅ローン金利が上昇すれば景気が減速するのは自明のことに思える。だが、この理論には重大な欠陥がいくつかある。