「住まい探し」のあり方に
変革をもたらす仕組み

 「ROOV」は主に未竣工マンションの販売事業者向けのサービスであり、「ROOV walk」と「ROOV compass」の2つの要素から成り立つ(図2)。

 このうちVR内覧機能に当たるのが「ROOV walk」だ。これは、室内空間を建築図面(CADデータ)からリアルタイム3DCG(デジタルツイン)で再現するもので、ユーザーは、未竣工の室内空間を自由に歩き回り、採寸したり、家具の配置を試したり、壁紙の色を変えたりしながら、その部屋での生活をシミュレーションできる。

 加えて、デジタルツインをウェブブラウザー上で表示でき、「時と場所を選ばず」検討できる点も大きな特徴だと間所氏は強調する。

「販売スタッフが、デジタルツインを表示するページのURLをお客さまに伝えておけば、帰宅後、お客さまがスマートフォンやパソコンで室内空間を見直せます」

「VR内覧」先端テクノロジーで実感、住まい探しと住宅設計はドラスティックに進化している!「ROOV walk」では、顧客が家具の配置、壁紙や床を変更しながら、理想のイメージを固めていく。気になる箇所にメモを貼り、販売事業者側とのチャットを通して、一つ一つの問題点を解決していくこともできる。 画像提供:スタイルポート
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 ただ、実際のマンション販売の商談では、室内の様子だけでなく、眺望や日照、周辺環境、価格など、他にもさまざまな要素が絡んでくる。そこで、こうした物件情報をクラウド上に集約し、販売スタッフが商談の場で活用できるようにしたのが「ROOV compass」だ。

 例えば、新築マンションの購入者がモデルルームに行くと、分厚い資料をその場でもらうことになるが、そうした物件に関するさまざまな情報を集約しているプラットフォームというわけだ。

「ROOV compass」の物件情報についても、販売スタッフがURLを発行し、顧客と共有できる。

 「お渡ししているのはユニーク(個別)URLで、お客さまがどの資料のどのページを、どれくらい見ているかを確認することができます。こうした情報をもとに、営業スタッフは、その後のお客さまへの接客方針を決めることができます。さらに言えば、優秀な営業スタッフの利用履歴をもとに、ノウハウを共有することもできる。つまり、販売支援に加え、業務レベルの均一化も図れるシステムとなっているのです」

「VR内覧」先端テクノロジーで実感、住まい探しと住宅設計はドラスティックに進化している!「ROOV compass」では、どの資料をどのくらい閲覧したのか等の顧客の行動解析により商談をサポートする 画像提供:スタイルポート
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 このように「ROOV」は、内覧の範疇にとどまらず、多方面にわたり変化をもたらすものとなっている。ひいては、「住まい探し」のあり方を変える可能性を持つ仕組みともいえるだろう。