「空き家問題」にDXで挑むベンチャーたち、畳む・生かす・引き継ぐ需要に見出した商機DXの活用で「空き家問題」を解決する新ビジネスが続々と誕生。担い手はベンチャーたちだ Photo:PIXTA

大きな社会問題となっている「空き家」の急増。その畳み方、生かし方、引き継ぎ方に、DXを活用して新しいビジネスを興すベンチャーたちがいる。今回は、解体、リノベーション、相続に関するサービスで市場を開拓する3社を取り上げる。

家づくりから家じまいへ
年々拡大する解体市場

◆CASE1 空き家×解体◆ クラッソーネ

 クラッソーネ代表の川口哲平氏にとって「空き家問題」とは、「使われなくなった空き家が放置されることで、近隣の住環境に悪影響を与えている事象」を指す。つまり、居住者がいなくても建物が適切に管理されていたり、放置された状態でも近隣に誰も居住せずに問題が生じていなければ、空き家問題とはいえないということだ。

「空き家問題」にDXで挑むベンチャーたち、畳む・生かす・引き継ぐ需要に見出した商機川口哲平(かわぐち・てっぺい)
クラッソーネ代表取締役CEO。京都大学農学部・地域環境工学科でダムや用水路の設計、機械設計を学び、卒業後、大手ハウスメーカーに入社。住宅営業を担当し、グループ社員3000人の中で最優秀営業賞を受賞。2011年にクラッソーネを創業し、現在に至る。

「実は創業した2011年当時は、空き家のことはまったく考えていませんでした。前職のハウスメーカーで注文住宅を建てるときに、解体工事が必要なケースが多くあったものの、ユーザーはどこに頼んでいいかわからない。

 一方、解体会社の方も集客の手段を知らない。情報の非対称性と非デジタル化の典型的な業界でした。そこで見積もりの依頼から工事会社の紹介、契約、サポートまでをウェブ上で完結できれば、こうした課題の解決につながると考え、マッチングプラットフォーム『くらそうね解体』(現『クラッソーネ』)を立ち上げました」

 ところが11年にサービスを開始すると、家づくりから家じまいのために解体(除却)するという利用者の比重が増えていることがわかった。

 その頃、国も空き家対策として15年に空き家対策特別措置法を施行し、所有者の指導、特定空き家※1に対する取り壊しを自治体ができるようになった。それまでは建物があると土地の固定資産税が軽減されていたが、23年からは管理不全空き家※2も優遇措置の対象外となった。

 こうした国の動きに対応して、解体工事の需要は右肩上がりに増加。その市場規模は、23年の1.5兆円弱から30年には2.2兆円にまで拡大すると見込まれる。

 官民挙げての空き家対策が動きだす中、「クラッソーネ」も立ち上げ以来の利用者数は13万人を突破し、登録工事会社数も1900社を超えた。さらに21年に国土交通省の「空き家対策モデル事業」に採択されたのをきっかけに、66の自治体(23年9月末時点、行政運営の団体含む)と空き家課題解決促進を目的とした協定を締結している。

「今後の人口減少に伴い、空き家はさらに増えていきます。そうなると地方に住む人だけの問題ではなく、都会に住む人でも親や親戚が地方に居住するなど、多くの人に該当する問題になります。ただ、一民間企業ができる範囲は狭く、官民が連携して課題解決に当たっていくことが重要になります」

 具体的な活動としては、空き家所有者への解体費用のシミュレーションや、解体費用の概算、土地売却査定価格の提示を行う「すまいの終活ナビ」の紹介、解体や建て替えを検討している相談者へのフライヤーの配布やセミナー開催、その他さまざまな情報発信などで、実際に各地で空き家の解体の実績を出しつつある。

※1 特定空き家:倒壊などの危険性が高い、衛生上の問題が大きいなど周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空き家。行政が撤去可能。
※2 管理不全空き家:管理が不十分で放置すれば「特定空き家」になる恐れがある空き家。