「VR内覧」先端テクノロジーで実感、住まい探しと住宅設計はドラスティックに進化している!物流倉庫や公演施設への適応もVR内覧の可能性を拡大中。今年9月にオープンした「Kアリーナ横浜」のデジタルツイン。アリーナ内をさまざまな視点で見ることができる。 画像提供:スタイルポート
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業界横断で3Dデータを活用し
より便利な社会へ

 今後、「仮想空間」のテクノロジーは、不動産業界をどのように変えていくのだろう。間所氏はその道筋の一つとして、「業界横断型の3Dデータ利用」を挙げた。

「不動産業界はサイロ化しているところが多分にあり、現時点では、私たちが建築図面から作ったデジタルツインは、販売のフェーズでしか使われていません。しかし考えてみれば、設計や計画を立てる段階から3Dデータを使ってもいいはずです。

 すると、設計段階で作った3Dデータを、そのまま販売フェーズに持っていける。さらに販売で使われた3Dデータは、今度は居住するユーザーに解放してもいいのではないかと。そうすると入居者は、家具などの購⼊時やリフォーム、そして将来売却を検討する際にも、3Dデータをそのまま事業者に送る形で利用できるわけです。このように一つの3Dデータを共通利用することで、バリューチェーン全体が効率化されればいいですよね」 

「VR内覧」先端テクノロジーで実感、住まい探しと住宅設計はドラスティックに進化している!昨年より、戸建て住宅向けVR内覧システム「ROOV for housing」の提供も開始。3DCADデータから20分ほどで仮想空間を生成できる。画像提供:スタイルポート
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 もう一点、間所氏らが模索しているのが、今話題の「生成AI」の活用法だ。活用に際しては、膨大なデータが必要となるが、スタイルポートでは、これまでの実績からすでに約4万室のマンションデータを持つことに加え、今後さらに戸建て住宅のデータも増えると見込んでいる。

「これらのデータをうまく生成AIに取り込んでいくと、将来的には、ふわっとした言葉でプロンプトを立てることで、自分の望ましい家の3Dイメージができあがるようなサービスが実装可能なはず。設計の打ち合わせでは、やはり一案目が出るまでに時間がかかります。

 特に一般の人が『こういう家を建てたい』と的確に伝えるのは非常に難しい。そういう部分を効率化するために、生成AIと3D技術を掛け合わせたサービスを提供できればと夢想しています」