新型コロナウイルス禍の発生からロシアによるウクライナ侵攻に至るまでの間、米国も欧州も多額の借り入れを行ってきた。これらの緊急事態から一定の時間が経過した今、ある相違点が浮き彫りになっている。米国が財政赤字を垂れ流し続けている一方、欧州の財政赤字は大幅な縮小が見込まれているのだ。これは10年前とは対照的だ。当時は世界金融危機のあおりで財政赤字が膨らみ、ユーロ圏の一部加盟国がデフォルト(債務不履行)寸前まで追い込まれた。その時の教訓やユーロ圏のルールによって、今のところ米国には全くない規律が欧州諸国に課されることになった。もっとも、その功績はほとんど認められていない。この1カ月には世界各国の国債利回りが上昇(価格は下落)した。これには中央銀行によるインフレ抑制策など多くの要因が絡んでいるが、もう一つの重要な要因は米国の財政赤字だ。
米で急増の債務、欧州は抑制に道筋
ユーロ圏債務危機の教訓とEUの財政規則が赤字を食い止めつつある
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