【社説】バイデン氏の対イラン「レッドライン」Photo:David Dee Delgado/gettyimages

 アントニー・ブリンケン米国務長官は24日、イランやその代理勢力が米軍を攻撃した場合、米国は「迅速かつ断固たる措置」で対抗すると表明した。これはイランの宗教指導者とその代理勢力を抑止することを狙った歓迎すべきメッセージだ。しかし、ジョー・バイデン大統領は現在自身で引いているとみられるレッドライン(譲れない一線)の警告を実行に移すのだろうか。これまでのところは実施していない。

 ブリンケン氏は国連で、「米国はイランとの紛争を目指しているわけではなく、現在の戦争が拡大することも望んではいない」と述べた。「しかし、イランあるいはその代理勢力がいかなる場所においても米国人を攻撃すれば、われわれは間違いなく自国民を防衛する」。ブリンケン氏の発言は、これまでに米国がイランに対して行った警告の中で最も厳しい内容であり、最も地位の高い政府当局者が発したものだ。バイデン大統領はこれまで、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラやイランがパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの紛争に関与するのを抑止するため、「やめておけ」というあいまいな警告を発していた。ブリンケン氏の発言はそれよりも踏み込んだ内容だ。