唐池恒二氏唐池恒二氏 Photo:SANKEI

地域活性化や地方創生の切り札として、「地域ブランド」の重要性が語られることは多い。しかし、ブランドは大きく広げれば価値が高まるわけではない。むしろ対象を絞り込み、個性を際立たせることで強くなる――。そう語るのは、豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」の生みの親として知られ、JR九州元社長で現・相談役の唐池恒二氏だ。なぜ「九州ブランド」は作れないのか。地域ブランドづくりの本質を解説する。※本稿は、JR九州相談役の唐池恒二『夢みる勇気』(リベラル社)の一部を抜粋・編集したものです。

ブランド力の価値は
“大より小”である

 ブランドは、対象が特定されればされるほど、個別であればあるほど、エリアが狭ければ狭いほど、より輝きを放つものです。いろいろなものを詰め込んだ総称として使われるブランドはもうひとつパッとしません。

 お米の話がわかりやすいでしょう。お米といえば新潟県。新潟県のお米は地域ブランドの代表格です。しかし、「新潟県のお米」より「新潟県のコシヒカリ」と言うほうが、品種を特定した分だけブランド力は増します。そして、単に「新潟県」でなく「新潟県魚沼市のコシヒカリ」のほうがより購買意欲を駆り立てます。さらに、「新潟県魚沼市のベテラン農家・佐藤〇〇さんのつくったコシヒカリ」とまでくると、もう泣く子も黙ってしまいます。

 2年ほど前、経済団体の会合で、出席者のひとりからこんな提案がありました。

「九州は焼酎王国だ。焼酎を通じて九州ブランドを売り出したらどうか。たとえば、すべての九州産焼酎のボトルのラベルに『九州焼酎』と明示するとか」

 あきれてしまいました。まさか経済団体の役員からこんな提案がなされるとは……。焼酎のボトルに「九州焼酎」というラベルを貼ってどうなるというのでしょう。