片方の目だけ突然見えない!
放置すると待っている恐ろしい事態
平田類 二本松眼科病院副院長
心筋梗塞は、朝の起床時と夜寝る前の数時間に起こりやすいとされます。これは、血管が詰まりやすいのは、体が疲れているとき、お酒を飲んだり、水分の補給不足で脱水症状のときが多いからとされているからですが、「網膜動脈閉塞症」も同じく、朝の起床時と夜寝る前に起こることが多いそう。
「心筋梗塞とは違い、胸の痛みや手足のしびれなどは特に起こりません。また、梗塞が起こるのはほとんどが片方の目だけです。このため、見えないことを疲れや飲みすぎのせいにして、『眠れば回復するかもしれない』と寝てしまう人も多いのです」
しかし、この病気では早急に血管の詰まりを取り除く治療が必要です。平松先生は「5分経っても見えないままなら、すぐに病院に行ってください」と断言します。
「脳梗塞の急性期治療などと同じように、発症から治療までの時間が短いほど、効果が出やすい。回復の見込みを高めるには、発症後6~8時間以内に、血液をサラサラにする点滴治療などをする必要があります」
単なる疲れ目と軽く考えず、夜間でも躊躇なく、眼科の救急診療を探しましょう。病院が開いている時間なら、とにかく近隣の眼科をすぐ受診することだそうです。点滴などの治療設備のない眼科医院でも、診断さえつけば治療のできる眼科に紹介してくれます。
「特に高血圧や糖尿病などを指摘されている人は、この病気のことを知っておくことが重要です。なお、心筋梗塞の発症は男性のほうが高いとされていますが、網膜動脈閉塞症も男性に多いという報告があります」
厚労省のデータベースによれば、日本での新規発症率は10万人あたり5.84人(1年)と少ないのですが、だからこそ、「まさか自分が」と思って対応が遅れないようにしたいものです。







