突然見えなくなる「目の心筋梗塞」、血液ドロドロの血管が引き金に一度、血管の中をのぞいてみたい (写真はイメージです)Photo:PIXTA

目に酸素を運ぶ動脈の血管が詰まったら、一大事。急に目が見えなくなり、視力を失う恐れもあります。体内の血管の状態と深い関わりがあるこの病気。緊急時の対処法や予防法を医師に聞きました。(取材・文/医療ライター 南雲つぐみ)

血液ドロドロは、
目の血管でも起こりうる

 血圧やコレステロール値など、健診結果が気になる年齢になったら、目の状態にも注意が必要です。これらの数値が高い高血糖・高血圧・脂質異常と肥満、喫煙などのリスクが複数重なった状態は「メタボリックシンドローム(以降、メタボ)」と言われ、心筋梗塞や脳梗塞など心疾患、脳疾患を引き起こすことがわかっていますが、同じ「梗塞=動脈血管が詰まる」という状態は目の中でも起こるからです。

「40~50代から増える目の病気といえば、緑内障、白内障、加齢黄斑変性症など長年かけてじわじわ進むものが多い。それに対し、目に酸素を運んでいる動脈の血管が詰まったら一刻を争う事態です。発症率は少ないですが、万が一のときの対処法を知っておいて損はありません」

 そう解説するのは、眼科専門医で二本松眼科副院長の平松類先生です。そもそも、なぜメタボが心筋梗塞や脳梗塞につながるのでしょうか。

「血管内部に悪玉(LDL)コレステロールなどの脂肪がドロドロの粥状にたまって血管が狭くなり、詰まりやすくなるからです。血管の老化である『動脈硬化』が進んだ状態とも言えます」

 目の網膜には、非常に細い血管が張り巡らされていますが、メタボによる血液ドロドロ化がすすむことで、心筋梗塞や脳梗塞と同じようにこれら目の血管にも「詰まり」を起こしやすくなります。

「目の動脈が詰まって起こる病気を『網膜動脈閉塞症』といいます。まさに、“目の心筋梗塞”といわれる病気です。ほとんどの場合、片側の目だけに起きます。網膜細胞に血液がいかないために、突然視野が真っ暗になります。そのまま放置すれば、網膜細胞は機能を失い、視力が損なわれてしまいます」