美術館に行っても「きれい!」「すごい!」「ヤバい!」という感想しかでてこない。でも、いつか美術をもっと楽しめるようになりたい。海外の美術館にも足を運んで、有名な絵画を鑑賞したい! そんなふうに思ったことはないでしょうか? この記事では、書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から、ご指名殺到の美術旅行添乗員、山上やすお氏の解説で「知っておきたい名画の見方」から「誰かに話したくなる興味深いエピソード」まで、わかりやすく紹介します。

ガラスのピラミッドとルーヴル美術館『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』より

「20世紀最悪の建物」とも言われた「ガラスのピラミッド」

──あ、そうそう! ルーヴル美術館といえばモナ・リザが有名ですが、この「ガラスのピラミッド」も有名ですよね? これもまさかひと悶着あるんじゃ…。

なかなか鋭いですね(笑)。このピラミッドができたときには大論争になったそうですよ!

──やっぱり(笑)。でもなんででしょうね? こんなにピッタリ建物に溶け込んで、「ルーヴルといったらこれ」ってくらい象徴的なものだと思いますけど…。

確かに今となってはルーヴルの顔ですよね。だけどこれは「溶け込んでいる」んでしょうか?

周りの建物を見てください。周りは石造りの壮麗な宮殿様式…というか、もともとルーヴル美術館は「ルーヴル宮殿」と呼ばれる王宮だったんですけど…。

──え!? ここ王宮だったんですか?

はい。ここは14世紀以来、王宮として使用されてきました。だから建物も美術館にしては立派すぎる気がしませんか?

──あ…確かにそうですね。

「そんな歴史のある伝統建築のど真ん中に、こんなわけのわからないピラミッドを建てるとは何事だ!?」ということですよ。

──わけのわからないって、ひどい(涙)。でも、そう言われてみれば違和感半端ないですね。

でしょ(笑)。それに、「周りの建物と釣り合っていない!」というだけではなく、ピラミッドと言えばエジプトの文明です。

まさにフランスの歴史を象徴するこの広場に、「海外ルーツ、しかもエジプトの建物を建てるのはどうなんだ!?」と批判がありました。

フランスはエジプトを支配していた時代がありましたからね。おそらく多くの人はエジプトを下に見ていたんでしょう。そんなこんなの大論争ですよ。

──うわぁ~。ドロドロじゃないですか! で、最終的にどうなったんですか?

どうなんでしょうね? とりあえずこの現代において、「そんなエジプトのものを~!」なんてことを言う人は見たことがありません。

なんなら、この論争の100年前にエッフェル塔が建ってるんですが、「この歴史あるパリの街に鉄くずの塔を~!」って散々叩かれたんです。

いつの時代もなんか言いたい人っているんですよね(笑)。

──共感ボタンがあったら100万回押してます(笑)。時代は繰り返すんですね。

(本記事は山上やすお著『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から一部を抜粋・改変したものです)