美術館に行っても「きれい!」「すごい!」「ヤバい!」という感想しかでてこない。でも、いつか美術をもっと楽しめるようになりたい。海外の美術館にも足を運んで、有名な絵画を鑑賞したい! そんなふうに思ったことはないでしょうか? この記事では、書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から、ご指名殺到の美術旅行添乗員、山上やすお氏の解説で「知っておきたい名画の見方」から「誰かに話したくなる興味深いエピソード」まで、わかりやすく紹介します。

ひまわり フィンセント・ファン・ゴッホ『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』より

ゴッホはなぜ「ひまわり」を描いたのか? 知られざるエピソード

さて、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの中で最も人気の高い作品のお出ましです! ゴッホの「ひまわり」ですね。

──おぉー!! 黄色い! まぶしすぎる! もう直視できません…!

そんなにですか(笑)。さて、この「ひまわり」はどうして描かれたのかはご存じですか?

──どうして…? なんだろ…。ひまわりがきれいだったからかな?

はは、多分それもあると思うんですけどね(笑)。この絵はゴッホがゴーギャンを待ち焦がれて描いたものと言われています。

──ん? どういう状況ですか?

この話をするためには、ゴッホという人物を知る必要があります。

ゴッホはオランダ生まれの画家なんですが、子どもの頃から気性が荒く、周囲になじむことができない子でした。学校も辞め、就職しますが仕事も続かない…。

そこで、ゴッホにはテオという弟がいたんですが、テオの勧めで幼い頃から好きだった絵を仕事にすることにしたんです。

──ムンクしかり、画家ってちょっと…変わった人が多いんですかね?

うーん、変わったという表現が正しいのかはわかりませんが、やはり人とは違う感覚を持った人が、その人にしか描けないものを描くのは大切なポイントですね。

──なるほど…。で、ゴッホは画家として上手いことやっていくんですか?

それがそうでもないんです。ゴッホはテオが住んでいたパリに出てきて他の画家たちと交流します。有名なところではモネとか、ルノワールたちですね。

ただ、ゴッホは人間関係が苦手なので、彼らともなかなか距離感がつかめずにいました

──喧嘩したりですか?

喧嘩もそうですが、ゴッホのみんなへの思いが強すぎたって感じですかね。

ゴッホは、パリから離れた南仏で画家たちが共同生活をし、助け合いながら絵を描くという夢を見ていました。

でも、そんな夢を見ているのはゴッホだけで、誰もそのアイデアに乗る人はいなかったんです。

──そうなんですね…。ちょっと悲しいかも(涙)。

そうですよね。ただ、ゴッホはそんなことに気付かず、一足先に南仏に行って、みんなに「南仏で一緒に暮らそう」という手紙を送り続けます

でも、何か月たっても誰も賛同してくれない。

そんな中、「南仏に行く!」という手紙がゴーギャンから届いたんです!

──なんと! それは嬉しかったでしょうね!!

そうなんです。簡単に言うとこの「ひまわり」はその気持ちの表れです。

ゴッホはゴーギャンが来る前に、ゴーギャンが住む予定の部屋にひまわりの絵を飾ることにしたんです。

──なるほど。そう思うとこの黄色がなんか期待というか…希望のようにも見えますね!

そうですよね。やっぱりこの色使いからゴッホのそのときの気持ちが読み取れるというか…。
ゴーギャンに「愛をこめて花束を」って感じですね。

(本記事は山上やすお著『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から一部を抜粋・改変したものです)