円安、株高、加えて不動産価格の上昇といった資産価格の変化は、円安が日本企業(ひいては日本の労働者)の国際的な競争力を増し、景気にプラスに働くし、資産価格の上昇と金融緩和過程での長期金利の低下は、消費や投資を活発化する効果を持ち、共に日本の総需要にプラスに働き、ひいてはインフレ率の上昇につながる。時間的な道のりは長いが、理由に難しい点はない。

 国民がインフレ目標から直ちにインフレの実現を期待(=予想)するのでなくても構わないのだ。

 また、景気が良くなって、それでもインフレが起こらないということはないだろうと思うが、仮にそのようなことが起こるとすれば、失業が減り、国民が豊かになるのだから、これはデフレ脱却のさらに先の目的が達成された望ましい状態だ。再分配政策に工夫が要るかもしれないが、分配政策を考える上でも、好景気・低失業率の状態の方がより容易なはずだ。

国債暴落は困るのか?
銀行危機は考えるに値する

 ところで、小幡氏の心配するような国債暴落が円安から直ちに起こるとは思えないが、国債暴落が銀行危機を生むとの指摘は考えるに値する。

 日銀の白川方明総裁も、同氏が議長を務める最後の政策決定会合が行われた後の3月7日の記者会見で、次のように述べている。

「日銀の国債買い入れが内外の市場で財政ファイナンスと受け取られると、長期金利が上昇し、多額の国債を保有する金融機関を通じて実体経済に悪影響を与える」(日本経済新聞3月8日朝刊)

 昨年10月の「金融システムレポート」で、日銀は全期間の金利が1%上昇すると、国内債券投資で、大手行3.7兆円、地域銀行3.0兆円、信用金庫で1.6兆円の、合計8.3兆円の評価損が発生すると発表した。2%の金利上昇なら、この倍の損失だ。