清水建設Photo:SANKEI

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大成建設、鹿島などの「ゼネコン」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

ゼネコン4社がそろって増収も
利益面は「大減益」続出

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のゼネコン業界4社。対象期間は2023年5~9月期の四半期(4社いずれも23年7~9月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・大成建設
 増収率:5.2%(四半期の売上高4092億円)
・鹿島
 増収率:13.2%(四半期の売上高7223億円)
・大林組
 増収率:15.5%(四半期の売上高5939億円)
・清水建設
 増収率:12.3%(四半期の売上高4955億円)

 ゼネコン4社はいずれも増収となった。上半期(23年4~9月期累計)の累計売上高においても、各社は前年同期実績を上回っている。

 ただし上半期の利益面に目を向けると、大成建設は営業利益が前年同期比41.7%減、純利益も同19.7%減と大きく落ち込んだ。

 また、清水建設は純利益は同44.0%増に拡大したものの、営業利益が同98.5%減と激減した。大林組は営業利益が同26.2%減、純利益が22.7%減という結果だった。

 残る鹿島は営業利益が前年同期比2.4%増、純利益が同8.6%減と、純利益の2桁減は免れた。だが、残る3社は上半期決算で「増収・大減益」に陥ったといえる。

 なぜ、各社の利益面は大打撃を受けているのか。

 次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、利益面についても詳しく解説する。