企業内の権力闘争は珍しいことではないが、大半の企業はそうした争いを乗り切っている。しかし、オープンAIの取締役会が先週、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)を突然解任したことは、ますます見当違いの自爆行為の様相を呈している。技術革新に反対する者以外に誰がこのメロドラマのような状況で得をしているのか理解に苦しむ。17日夜に伝えられたアルトマン氏解任の報は、シリコンバレーに衝撃を与えた。アルトマン氏は人類に利益をもたらす人工知能(AI)の開発に責任を持つという使命を担い、2015年のオープンAI創業に寄与した。同氏はそれ以降、AI技術の対外的な顔となり、メディアに登場し、米議会で証言した。アルトマン氏の解任の理由は曖昧だ。取締役会は同氏が一貫して率直なやりとりを行わなかったと述べたが、詳細な説明をしなかった。また、同社の最高執行責任者(COO)は従業員宛てのメモで「コミュニケーションの断絶」を理由に挙げていた。しかし、最近の報道によると、このクーデターはAIの未来を巡る論争の結果であることがうかがえる。