10月の米国の消費者物価上昇率や雇用統計が市場予想を下回ったことで、2024年の利下げに市場の関心が集まりつつある。経済指標動向などからその時期を予想する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
CPI発表を受けて
12月の会合での利上げ確率はゼロに
「まだ利上げするのか」から「いつ利下げに転じるのか」へ──。米労働省が10月の消費者物価指数(CPI)を発表した11月14日を契機に、米国の政策金利動向に対する市場の関心が一気に移っている。
10月のCPI上昇率は3.2%と市場予想の3.3%を下回った。より物価の基調を示す、エネルギーと食品を除くコア指数も4.0%と市場予想の4.1%より低い水準だった(下図参照)。
市場の金利動向から、米連邦公開市場委員会(FOMC)開催ごとに、米国の政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの水準別の確率を予想するFedWatchによると、CPI発表を受けて、12月の会合での利上げ確率はゼロになった。
現状の水準(5~5.25%)で利上げ打ち止めの場合、その後に利下げとなる確率が50%を超えるのは、CPI発表前は2024年6月時のFOMCだったが、5月へと早まった。
利上げは本当に打ち止めになるのか。消費者物価が今後上振れれば、さらなる利上げが必要になるのは当然だが、それ以外で金融政策動向の鍵を握るのは長期金利である。