竹田孝洋
#4
日本は米国との関税交渉で合意に達したものの、“合意通り”の関税率が反映されない状態が続いている。合意通りに関税が引き下げられたとしても日本経済へのダメージは避けられない。識者9人に日本経済の行方を検証してもらった。

#3
欧州連合(EU)はトランプ政権との関税交渉で相互関税率15%で合意した。とはいえ、従前より関税率が上がったことで輸出への影響や成長率低下は避けられない。加えて、合意に当たっては米国産エネルギー輸入や追加投資を約束したが、その目標達成の困難さから、関税引き上げリスクも残る。欧州経済の識者5人に、トランプ関税のユーロ圏経済への影響を検証してもらった。

#2
2025年1月に2%台だった米国の平均実行関税率は、相互関税の上乗せ分発動で8月には18%台へ急騰した。輸入物価上昇は消費と企業業績を直撃しかねないが、株式市場は史上最高値を更新し楽観ムードが広がる。ただ、関税の影響はこれから本格化する。米国経済の識者5人に景気、物価、金融政策の行方を予測してもらった。

#1
8月11日、トランプ米大統領は中国への一部追加関税の90日間の再度停止を決定した。とはいえ、中国からの輸入品に対する米国の関税率30%は維持される。5人の識者にトランプ関税の影響を受けた今後の中国経済の先行きを分析してもらった。

米FOMC(連邦公開市場委員会)は、7月の会合で政策金利を据え置いたものの、ボウマン副議長とウォラー理事が利下げを主張して反対票を投じた。もともとタカ派だった彼らの“変節”は、雇用悪化とトランプ関税による物価上昇が一時的との認識を背景にしている。FOMCの分断は解消しそうにないが、8月1日に発表された雇用統計の大幅下方修正もあり、9月の利下げ再開の可能性が高まっている。

参議院選挙で自民・公明の連立与党が過半数割れとなったが、株式市場の反応は限定的だった。その後に伝えられたトランプ関税を巡る日米交渉の妥結が市場に好感され、日経平均株価は急上昇。一時4万2000円を突破する場面もあった。だが、業績よりもPER(株価収益率)の上昇が寄与している背景もあり、株価の持続性には疑問も残る。今後の相場を為替の見通しと併せて検証する。

自由民主党と国民民主党が掲げる名目GDP(国内総生産)1000兆円という経済目標。その達成には年平均で3.5~4.5%の成長が必要となるが、現在の潜在成長率や物価上昇率の動向から見て、実現は可能なのか。安倍内閣時代の600兆円目標が達成された背景や、近年の実質経済成長率の停滞も踏まえつつ、目標達成の可能性を検証する。

消費税減税や給付金、社会保険料引き下げなどの公約が各党から打ち出されている。だが、それらがもたらす財政負担の裏付けの根拠が危ういものも少なくない。巨額の国債残高を抱える日本が今後も“財政破綻しない国”でいられるのか――その前提と変化の兆しを検証する。

物価高対策を巡って「給付金」と「消費税減税」が争点となっているが、いずれも、モノやサービスの需要を増やすという点で、物価上昇の抑制策とは言い難い。とはいえ、家計支援としての役割は否定できず、目的に応じてその効果は異なる。経済全体への波及効果を重視するか、低所得者への支援を優先するかで、選択すべき政策は変わってくる。

「生活保護の3分の1は外国人」「医療費が外国人に食い物にされている」といった言説が流布しているが、実情はどうなっているのだろうか。生活保護・医療制度・外国人労働力という三つのテーマについて統計と制度から実態を読み解き、現実的な議論の出発点を提示する。

年金制度改革を巡り、自民・公明・立憲の3党が修正合意し、氷河期世代を救う「基礎年金底上げ」が、2029年時に判断するとの条件つきで復活した。だが、国民年金の救済だとして厚生年金積立金からの“流用”に反対する声は依然多い。しかし、実態は流用とまではいえないものだ。底上げが必要となる事態をもたらしたのは、制度のひずみと高齢者偏重の政治判断である。

#4
老朽化した上水道管を抱える自治体にとって、更新費用の財源確保は避けて通れない課題だ。生活を支える必須のインフラであるが故に放置することはできない。現在の老朽化の現状、事業の採算性、料金水準を基にランキングを作成し、自治体・団体ごとの危険度を算出してみた。

#3
上水道は1950年代後半以降の高度成長期に整備が加速し、80年代に普及率は90%を超えた。整備が進んだ時期の管が今、更新期を迎えつつある。下水道と同様に老朽化の現状、更新財源確保に向けた値上げの可能性をランキングで検証する。

#2
下水道の老朽化が進み、更新費用がかさみ始めても事業として採算が取れていれば、財源を捻出できる。財源が不足していても料金を値上げできればいいが、すでに料金の水準が高ければ値上げの余地は少ない。老朽化対策への耐性を測る危険度ランキングを作成した。

#1
下水道は整備の進み始めた時期が1970年代と上水道より遅く、都市部から普及した。そのため老朽化が進んでいる自治体は、都市圏が中心だ。老朽化対策の財源確保のために、料金値上げに踏み切る自治体も現れている。老朽化の現状、値上げの可能性をランキングで検証する。

予告
上下水道危険度ランキング!あなたの街の「管」があぶない…八潮市の陥没事故は人ごとではない
下水道管の破損が引き起こした埼玉県八潮市の道路陥没。トラック運転手の方が亡くなるという痛ましい結果となってしまった。八潮市のケースのような大規模ではないにせよ、陥没自体は日本各地で起きている。上水道においても管の破裂が頻発している。高度成長期に普及した上下水道網が老朽化していることが原因だ。上下水道を運営する自治体の公営企業のデータを基に、老朽化の現状、料金値上げの可能性、補修、更新など老朽化対策への耐性を反映した危険度ランキングを作成した。

日本では2%を超える物価上昇が続く一方、日銀は「安定的な達成」には至っていないと説明を続ける。今後もマイナスの実質金利という緩和的政策が続く可能性が高い。日本銀行元副総裁である山口廣秀・日興リサーチセンター理事長へのインタビューの後編では、緩和継続によるバブルの再発懸念、大規模緩和からの出口戦略のデメリットなどについて語ってもらった。

物価上昇と実質賃金の低迷が日本の個人消費を圧迫している。トランプ政権の関税政策は日本経済にも深刻な影響を及ぼす。今後の景気・物価動向、利上げの行方、大規模緩和からの出口戦略とそれがもたらす経済・市場への影響について、日本銀行元副総裁である山口廣秀・日興リサーチセンター理事長へのインタビューを2回に分けてお届けする。前編では、日米経済の現況、利上げの見通しなどについて語ってもらった。

5月のFOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長はトランプ大統領の利下げ要求が金融政策に影響していないと明言した。だが、大統領の関税政策ゆえに景気とインフレの板挟みの中、動けない状態が続いているのが実情である。今後の関税政策と経済の見通しに基づき、利下げ再開の時期を予測する。

#7
米長期金利の急上昇が相互関税の上乗せ部分の実施一時停止につながった。市場のアラーム機能が作動したと言える。トランプ関税の行方を占ううえでも、今後の金利動向は重要だ。日米の金利見通しについて5人の識者に聞いた。
