さほど昔のことではない。米顧客情報管理(CRM)サービス大手セールスフォースが、11%という成長率を小ばかにしていた時代もあった。今はと言うと、8-10月期(第3四半期)まで3四半期連続で、前年同期比の売上高の伸びがその近辺にとどまった。11月29日の決算発表では、11-1月期(第4四半期)の売上高について、市場予想と一致する10%増になるとの見通しを示した。10%といっても、四捨五入しなければ9.8%だ。一般的には成長率が一桁だと、シリコンバレーのソフトウエア会社は息絶えるか、少なくとも配当金を支払い始めるかするところだ。だがセールスフォースは違う。市場予想がかなり悲観的だったため、今回の業績と見通しは朗報となった。複数のアナリストが挙げていた業界筋の話では、同社製品への需要は軟化しているとのことだった。同社の株価は足元で年初の水準を74%上回っているものの、直近6カ月間の上昇率はわずか7%で、ナスダック総合指数の10%に届かない。