人も住まいも一緒に年をとる「ダブル高齢化」問題に直面している少子高齢化ニッポン。高経年マンションとどう向き合えばいいのか、識者に聞くシリーズの第2回は、マンションの資産価値の維持について考える。
コンクリート建物の
「寿命60年」は間違い
長嶋修氏
広告代理店、住宅メーカー勤務を経て1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を設立(現在は会長)。コンサルティングから政策提言まで、幅広い活動を行っている
中古マンションとは、どれくらいもつと思いますか。
すでにボロボロ状態になっていれば別ですが、きちんとつくられて、適度にメンテナンスしていけば、基本的に100年か、それ以上もちます。
「コンクリートの建物は60年」などといいますが、この数字は、法律で定めた減価償却資産の耐用年数ですから、鉄筋コンクリート住宅の強度をいっているわけではありません。
鉄筋コンクリートの場合、かぶり厚といって、鉄筋の周りのコンクリートの厚さが、30ミリあるように建築基準法で定められています(注)。仮にコンクリートが空気に触れることで1年に0.5ミリ中性化していくと、60年で鉄筋まで達する計算になります。
問題は、最初アルカリ性を保っていたコンクリート内部が、だんだん中性化していくと水が染み込みやすくなって、鉄筋が錆びること。中性化していっても、それを防ぐ対策を講じていけば全然問題ないのです。ですから、築40年でも50年でも、ちゃんと管理している建物なら、まだ長持ちします。