マイクロモビリティや自動運転システムを開発するスタートアップのWHILL。同社が開発する電動車いす「WHILL Model C2」などを取り扱う自動車ディーラーが増えている。2021年6月時点では16社・220店舗での取り扱いだったが、3カ月でほぼ倍増し、9月16日現在では31社・430店舗がWHILLの電動車いすを取り扱う。
WHILLの電動車いすを「免許返納後の選択肢として高齢者に勧めたい」と考えるディーラーが増えたことが、取扱店舗数の増加の一因としてあるという。WHILL Model C2の場合、最高速度は6km、走行距離は18km。クルマと同じとはいかないが、歩行が不便になって出歩かなくなったり、近距離でも乗用車を多用するようになったりしている高齢者にとっては、十分に代わりを果たす乗り物と言えるだろう。
WHILLで日本事業本部の執行役員本部長を務める池田朋宏氏は9月16日の記者説明会で、「免許返納後の移動手段が確保されていない、認知されていない、という課題があります。WHILLのモビリティは免許不要です。新しい生活を支えられる移動手段になるのではないかと考えています」と話す。
記者説明会には熊本トヨタ自動車の執行役員 営業副本部長の中川大氏、そして富山県のホンダディーラーであるホンダ自販タナカの代表取締役社長・浅生忠和氏も参加した。両者は、顧客に免許返納後の移動手段を提供したかったが、従来取り扱うブランドではそのような選択肢を展開していなかったことから、WHILLの電動車いすの取り扱いを始めたと説明した。
中川氏いわく、熊本トヨタでは免許返納後の選択肢として、トヨタが発売予定の歩行領域EVを提供する計画はあるものの、「(現時点で)具体的に何も提供できていなかった」ことから、WHILLの取り扱いを開始した。