米不動産開発大手ハインズ(本社・ヒューストン)は、活況を呈する航空宇宙産業から利益を得ようと、フロリダ州ケープカナベラル近郊に広大な工業団地を開発中だ。
ハインズは、ジェフ・ベゾス氏率いるブルーオリジン、イーロン・マスク氏のスペースXなどの宇宙開発ベンチャーやそのサプライヤー(供給業者)が、ロケットやスペースシャトル、人工衛星、製造・保守部品を保管するため、発射場近くの倉庫や製造スペースに高い賃料を支払うことに賭けている。
地元デベロッパーのキー・グループと提携したハインズの5億ドル(約735億円)のプロジェクトは、不動産業界の変化を浮き彫りにしている。オフィス需要や一部小売業向け需要が苦戦し、マンションの賃料の伸びが鈍化する中、デベロッパーはニッチ産業に目を向けている。人工知能(AI)産業の成長に乗じてデータセンターを建設する企業もあれば、ハインズのように宇宙に目を向ける企業もある。
「航空宇宙産業は本当に新興のサプライチェーン(供給網)で、(中略)不動産業界はまだ追いついていないと感じている」と、ハインズの米南東地域・産業開発買収担当マネジングディレクターのライアン・ウッド氏は言う。
ロケットや宇宙船は大きくて高価なため、発射場まで車両や鉄道で運ぶのは難しい。また、多くのサプライヤーも必要とする。そのため発射場の近くに倉庫や製造施設が必要になる。
この開発はまた、宇宙産業がオーランドの東に位置するほぼ活気のない海沿いの地域をどう変えつつあるかを示している。ハインズとキー・グループは、ケープカナベラルのロケット発射場から車ですぐのタイタスビルに450エーカー(1.8平方キロメートル)の土地を確保。ウッド氏によると、両社は2024年初めに最初の倉庫3棟に着工し、25年に完成させる予定だ。3棟の総面積は約6万平方メートルに及ぶ。
両社はテナント候補と交渉中だが、まだリース契約は結んでいないという。プロジェクトの総面積は約28万平方メートルとなる。
スペースXはケープカナベラルからロケットを打ち上げており、ブルーオリジン、ボーイング、ロッキード・マーチンなどの企業が近くに施設を構えている。宇宙ビジネスが活況を呈しているにもかかわらず、この地域にはまだ倉庫スペースが比較的少なく、賃料を押し上げている。
不動産サービス会社CBREのデービッド・マーフィー上級副社長は、「今、この地域でスペースを見つけることは非常に難しい」と語る。そのため、金利上昇によって不動産の取得・建設コストが上昇しているにもかかわらず、この地域は開発業者にとって魅力的だ。
宇宙産業向けに倉庫建設を検討しているデベロッパーは、ハインズとキー・グループだけではない。フロリダ州にある不動産会社のオニックス・グループとパートナーのエアリーズ・キャピタルは、近くのエッジウォーターに約9万3000平方メートルの工業団地を建設する計画を発表した。それでもマーフィー氏は、高金利と銀行などの貸し渋りを背景に、こうした計画で採算が取れるデベロッパーは少ないとみている。
キー・グループ代表のキャスリーン・ヨンス氏は、2019年にケープカナベラル近くの土地を探し始めたと語った。同社は2022年にタイタスビル・ココア空港公団から土地をリースする契約を結び、今年ハインズをパートナーに迎えた。
宇宙企業向けの倉庫建設には課題がある。ロケットはアマゾン・ドット・コムが扱う荷物よりもはるかに大きいため、柱と柱の間の距離を長くする必要があり、道路も広くする必要がある。しかし、ほとんどの場合、建物は他の倉庫と同じように見えるだろう、とヨンス氏は語った。



