それでも、日本郵政は「ファンドが事業を継続するわけはない」と言い、事前に排除する選考手続きに一切問題がないと言わんばかりの態度をとっている。

鳩山総務相も業を煮やし
立入検査を示唆するが

 繰り返すが、2年程度の転売禁止が条件ならば、ファンドだって受け入れるところは多いはず。むしろ、最初に3条件を示したうえで、競争入札を実施して初めて透明で公正な競争メカニズムの働く入札だったと言えるはずである。現段階で公表されている話や取材で得た回答をどう繋ぎ合わせても、今回の手続きが、国民のため、少しでも高く国有財産を売却する努力を日本郵政がしたかどうか、大きな疑問が残っていると言わざるを得ないのだ。

 日本郵政の姿勢に業を煮やしたのは、鳩山総務大臣だ。2月2日の参議院の本会議で、専門家に調べてもらいたいとしていた、それまでの態度を硬化させた。きっぱりと「入札経過の詳細な説明がない。日本郵政株式会社法に基づく立ち入り調査も視野に入れたい」と断言したのだ。この発言によって、日本郵政株式会社法の第15条に規定された「立入検査」権の発動を示唆したのである。

 さらに、翌3日。鳩山大臣は、閣議後の記者会見でも「悠長にやっていることではない。らちが明かなければ立入検査ということです」と強調し、日本郵政に改めて圧力をかけた。

 余談だが、1月29日付の日本経済新聞夕刊が、ほんのひとときだけ、日本郵政の方針転換を印象付ける報道をした。夕刊1面で、「入札資料を全面開示 立ち入り回避狙う」の大見出しを付けて、「これまで慎重だった入札に関する全資料を総務省に開示することを決めた」と報じたのだ。ところが、その夜、当の日本郵政に確認したところ、「立ち入り検査を回避するために、全面開示をすることなど検討していない。当社は、これまでに鳩山大臣や総務省から開示を求められた情報を淡々と開示していくだけである」と報道を完全に否定する始末だった。

 むしろ、総務省事務方や民主党の一部では、日本郵政が検査を逃れるため、資料を廃棄するような問題が起きないかという懸念が持たれている。このため、原口衆議院議員らは、国政調査権の活用を視野に入れて、国民新党や社民党と合同調査チームを立ち上げる準備を進めている。国会での集中審議を行い、西川社長やオリックスの宮内義彦会長を参考人として招致することも視野に入れている模様だ。

メルパルク貸借でも
一般競争入札の形跡なし

 そうした中で、かんぽの宿以外の新たな疑問として急浮上しているのが、東京、横浜、名古屋、京都、大阪など全国11箇所のメルパルクの「定期建物貸借権協定」だ。

 かんぽの宿の主たる業務が、簡易保険加入者のために宿泊サービスを提供することだったのに対し、メルパルクのそれは、郵便貯金の宣伝・周知が目的で、イベント会場の提供や結婚式サービスなどを手掛けてきた。そして、郵政民営化に伴い、かんぽの宿と同様、日本郵政株式会社が事業を承継していた。