そして、昨年6月に、詳細は伏せたまま、京都市に本社を置くワタベウェディング(資本金41億7600万円)と建物の貸借契約で基本合意したと発表していた。

 今回、指摘されているのは、このワタベウェディングを貸借先として決定した過程だ。かんぽの宿をオリックス不動産に売却すると決めたときと同様、手続きの不透明性が問題視されているのだ。というのは、ワタベウェディングは、メルパルクの事業運営なども受託しているが、この決定の際に、やはり一般競争入札が行われた形跡がなく、恣意的な決定がなされやすい「企画コンペ」が行われたとされるからである。

 当時の関係者によると、実は、それまで運営を受託していた財団法人の「ゆうちょ財団」が職員の雇用を維持するため、運営費の大幅削減を打ち出し、入札への参加希望を表明したところ、日本郵政から「入札は行わない」と参加を拒否された経緯があるのだ。

 最終的に、ゆうちょ財団が雇用していたメルパルク職員の多くは、それまでと同じ雇用条件で、ワタベウェディング側の受け皿会社に転職できたという。だが、これでは人件費がほとんど下がらない。運営コストがほとんど変わらないとすれば、いったい何のために事業運営組織をすげ替えられたのか不明という。今なお、手続き全体を疑問視する声が根強く残っている。

 また、日本郵政が1月23日、日本通運との間で合意していた宅配便事業の統合に関して、唐突に「統合プロセスを一部変更し、統合を実施することになりました」と発表したことも、その狙いに疑問の声があがっている。日本郵政は「何ヵ月も検討してきたことで、(不純な動機で)急に変更することなどできるわけがない」と反論しているが、その中身が、「当初株主間契約で予定していた会社分割に代えて4月1日から段階的にJPEXに事業を継承する」との変更だった点に首を傾げる向きは多い。

 民主党では「日本郵政の会社分割が総務大臣の認可事項で、かんぽの宿売却で疑義を呈されるきっかけになったことに対応した措置ではないか」とみており、前述の原口議員が徹底的に追及する考えという。また、総務省でも「会社分割の認可は不用になるが、事業計画の変更となるので知らぬ顔はできない」と実態解明に強い関心を示している。

 一連の疑問は、決して直ちに不正があったということを意味しない。この点は、関係者の名誉のために強調しておきたい。ただ、疑問の対象になっているのが、国有財産の処分や再活用、巨大な国営事業の再編だ。言い換えれば、政府が国民への説明責任を負う問題なのだ。それにもかかわらず、法的に厳密な開示義務がないことを盾に取り、情報を隠す今回の日本郵政の対応は、麻生太郎政権を窮地に追い込むばかりか、政治や民営化への国民の不信を助長する行為に他ならない。

 問題がここまでこじれた以上、今、起きている問題の解明だけでなく、こうしたことを許さない法整備も喫緊の課題になったと言わざるを得ないのではないだろうか。