【ポクロフスク(ウクライナ)】ロシア軍との戦闘の合間、優しいおじさんといった風情のライフル銃兵は、散髪に出掛けた日のことを振り返った。自分はあのときウクライナ軍への入隊を強要されたのだと。  白髪まじりでがっちりした体格の元電気技師(47)は、理髪店の前で3人の新兵募集職員に声をかけられ、車に乗るよう命じられた。徴兵センターの薄暗い部屋で、入隊申込書に署名するまで2日間拘束された。  「散髪は訓練所でしてもらった」と彼は言う。  この兵士(軍のコールサインは「デュボク」)は後方で技術者として働きたいと申し出た。だが「その任務に就くには賄賂を払わなければならない」という。