徒歩写真はイメージです Photo:PIXTA

大震災が発生したときには、交通機関がストップし、徒歩で帰宅をせざるを得ない状況が発生することがあります。そのような状況下で、「よし、今日は歩いて帰ろう!」と何も計画せずに軽い気持ちで帰宅することは危険です。徒歩で無事に帰宅するには、事前の計画・準備、工夫が必要です。今回は筆者の陸上自衛隊時代の経験を踏まえ、皆様が無事に帰宅できるための参考情報をお伝えします。(元自衛官 ぱやぱやくん)

※2023年4月5日に公開した記事をもう一度、紹介します。全ての内容は初出時のまま

自分が歩ける距離を理解しよう

 まず皆様にお伝えしたいことは、帰宅時に「二次災害を起こさない」ということです。帰宅の途中に体力の限界で歩けなくなったり、熱中症や低体温症で搬送が必要になったりする事態を発生させないために、「自分が歩ける距離」を理解してください。
  
 内閣府防災情報によると10km以内は全員歩くことができますが、10km以上からは帰宅困難者が発生し、20km以上は全員帰宅困難としています。

 例えば、東京駅を起点にすると10km、20kmは主に次の駅が該当します。

●10kmは綾瀬駅、中野駅、下北沢駅、大井町、葛西駅
●20kmは新松戸駅、三鷹駅、登戸駅、川崎駅、船橋駅
※これは直線距離での計測になるので、実際のルートではさらに距離が伸びます。

 マラソンや登山などを趣味に持ち、日頃から長距離を移動することに慣れている方は「20km以上でも余裕だよ!」と思うかもしれませんが、震災後は路面状況の悪化、橋の崩壊、崖崩れなどが想定され、迂回路で迷子になる可能性があります。体力に自信がある方でも20kmという距離を一つの目安にした方がいいでしょう。

 またGPSが出す最短距離は細い道が含まれていることがありますが、群衆事故を防ぐためにもできる限り、「広くて大きい道」になるようなルート選定をしてください。

 いずれにしても、Google Mapなどで一度距離を検索することおすすめします。

 体力さえあれば徒歩で帰宅できるわけではありません。事前に備えておくべき物があります。