職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
そんな悩みをズバッと解決する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんは、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介するプロです。この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「メールを短くするコツ」について紹介しましょう。

「長すぎるメール」をバッサリ短くする、たった1つのコツPhoto: Adobe Stock

長いメールには何が多いのか?

 あなたは、ついメールが長くなりがちではありませんか?

 私は「メールライティング」も指導していますが、このところ指導先の企業で、社員の方々のメールスキルを確認していると、読みにくさを感じることが増えています。

 その特徴は、「敬語が多すぎる」のです。

 実際に例を見ていきましょう。

「弊社で確認させていただきました後に、ご連絡をさせていただきます。」
「一階で受付をお済ませになりましたら、30階までお上がりください。」
「新商品をご希望でいらっしゃるとのことでございますので、今春のカタログをお送りいたします。」

 いかがでしょうか。

 これでは、多くの敬語の中に、本来伝えたいことが埋もれている感じがします。
 しかもいま、コミュニケーションツールに「チャット」が加わっています。長々としたメールは以前に増して好かれません。

「たった1つのコツ」とは?

 ただ、「どうやって敬語を控えたらよいかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

 メールを短くコツは、「読点(、)の前は普通語」を使い、「句点(。)の前で敬語」を使うということです。

「敬語は語尾だけで使う」と覚えておくと簡単かもしれません。

 先ほどの例を書き換えてみましょう。

「弊社で確認した後、ご連絡をさせていただきます。」
「一階で受付を済ませ、30階までお上がりください。」
「新商品をご希望とのことですので、今春のカタログをお送りいたします。」

 このように、一文が短くなるので、読みやすさがアップします。
 しかも丁寧さもじゅうぶん伝わってきます。

 丁寧さを重んじると、つい敬語が多くなるのかもしれません。
 わかりやすいメールを送るほうが、よほど丁寧だという考え方を持っておきましょう。

(本稿は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。