老後「いつもイライラする人」「心穏やかな人」の違いとは?
42歳でパーキンソン病に侵された精神科医のエッセイが、韓国で売れに売れている。『もし私が人生をやり直せたら』という本だ。「自分をもっと褒めてあげようと思った」「人生に疲れ、温かいアドバイスが欲しいときに読みたい」「限られた時間を、もっと大切にしたい」と共感・絶賛の声が相次ぎ、35万部以上売れているという。
そんなベストセラーエッセイの邦訳が、ついに刊行される。男女問わず、多くの人から共感・絶賛を集める本書の内容とは、いったいどのようなものなのか? 本書の日本語版から抜粋する形で、「人生の限りある時間」の過ごし方について書かれた項目を紹介していく。
老後「いつもイライラする人」「心穏やかな人」の決定的な違い
65歳──。生きてきた時間より、これから生きていく時間のほうが短いのは間違いありません。
宿題をこなすように息を切らした日々、うまく立ち回れず、ただ置いていかれまいと必死に走り続けた日々。いろいろと思い出すうちに、やり残したことや、逃してしまったこと、悔しかった気持ちまでもが思い出されてきましたが、もうあの頃には戻れません。
思い出とともに、身近な人たちの顔も浮かんできました。一緒に年を重ねてきた夫、仲間、そして友人たち。その後ろには、少女の頃の私をほうふつとさせる好奇心いっぱいの子どもたちの姿。今さらながら、彼らに囲まれている事実に胸が熱くなります。
なぜ不安やイライラが絶えなかったのか?
私は、自分が思うよりずっと幸せな人間でした。どうやら目先のことしか見えない近視眼的な私の目が、それを映さなかっただけ。失ったことを悲しむあまり、そばにある大切なことに感謝できていなかったのです。
何よりも、足ることを知らない私の欲望も幸せを邪魔していました。誰よりももっと賢く、完璧な人間になって周りに認められなければ──。そんな自分に向けた過度な期待が、結局は自分自身を幸せから遠ざけていたのです。人間の欲望にはキリがありません。
いつも不安やイライラが絶えなかったのは、「完璧な私じゃないと誰にも認められない」といった思い込みが根底にあったからにほかなりません。では、どうすればいいのでしょうか?