人生は誰にとっても一度きり。だからこそ、周りの雰囲気や人々に流されず、自分の意思を貫いて悔いのないように日々を過ごさないともったいない。
本稿では、世界的ベストセラーの邦訳版で、「ここ数年で最高かつ、最も独創的なお金の本」「読んだら人生変わった」と絶賛されている『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』の一部を抜粋・編集して、老後に必ず後悔する「お金と時間のNGな使い方」を解説する。
70年前より所得は増えても幸せにはなっていない
現在の米国は、世界史上もっとも豊かな国である。だが、富や所得がはるかに少なかった1950年代と比べて、現在の米国人が幸福だと示す証拠はほとんどない。
2019年にギャラップ社が140カ国、15万人を対象に行った調査によると、「前日に多くの心配事があった」と答えたのが世界平均39%だったのに対し、米国人は約45%だった。「前日に多くのストレスを感じた」と答えたのは世界平均が35%だったのに対し米国人は55%だった。
お金と引き換えに「自分の時間」を失った
なぜこのような事態が起きているのか。豊かになった米国人は、大きくて質の良いモノを買えるようになった。だが同時に、自分の時間をコントロールできなくなった。豊かさと引き換えに、時間を手放したのだ。
車の製造を仕事にしているなら、組み立てラインにいないときにできることはほとんどない。仕事が終われば、道具を置いて工場を出るしかない。
だが、マーケティングの仕事なら、道具は自分の頭脳であり、会社を出ても完全に仕事が頭から離れることはない。だから通勤中も、夕食の支度をしているときも、子どもを寝かしつけているときも、朝3時にストレスで目が覚めたときも、プロジェクトのことを考え続けているかもしれない。
1950年に比べれば、勤務時間はわずかに短くなったのかもしれない。だがその一方で、24時間365日、休まず働いているような状態だとも言えるのだ。
「仕事第一」×「稼いだお金をモノに使う」が一番後悔する
老年学者のカール・ピレマーは、著書のなかで、米国の高齢者1000人にインタビューを行い、彼らが長い人生経験から学んだもっとも重要な教訓は何かを探った。
ピレマーは次のように書いている。
誰も―同じく1000人のうち誰1人として―周りの人と同じくらい裕福であることが大切で、さらに裕福ならばそれが本当の成功だと言った人はいなかった。
誰も―同じく1000人のうち誰1人として―将来にいかに高収入になれるかを基準にして仕事を選ぶべきだと言った人はいなかった。
彼らが大切にしていたのは、温かな友情、高貴で大きな目的のための活動への参加、子どもたちとゆったり過ごす充実した時間などだった。
モノではなく時間こそが、人生を幸せに導く――これが、人生経験豊富で、あらゆる体験をしてきた人生の先達からのアドバイスなのだ。
(本稿は、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』の一部を抜粋・編集したものです)