回答者の年齢は中央値59歳(四分位範囲54~64)、女性6.1%だった。RSSTスコアは中央値12で、1~12回を低RSST群(52.3%)、13~20回を高RSST群(47.7%)とした。

 両群を比較すると、年齢や性別の分布、会話時間以外の生活習慣、自覚症状に有意差は見られず、脂質異常症の割合〔低RSST群19.8%、高RSST群30.4%(P=0.030)〕と会話時間〔1日に3時間未満が同順に66.0%、50.6%(P=0.006)〕のみ有意差が認められた。このほかに、睡眠時無呼吸症候群(P=0.054)や口呼吸(P=0.076)、窒息しかけた体験の有無(P=0.084)が、有意水準未満ながらも比較的大きな群間差が認められた。

人としゃべることで
口腔の筋力や認知機能を維持

 次に、有意差または有意に近い群間差が認められた上記の因子を独立変数、低RSSTであることを従属変数とする多変量解析を施行。その結果、低RSSTに独立した関連のある因子として、1日の会話の時間が3時間未満であることのみが抽出された〔オッズ比1.863(95%信頼区間1.167~2.974)〕。

 著者らは本研究の対象が医師のみであり、RSSTの中央値も比較的高かったことから(既報研究での中央値は一桁台)、この結果から得られた知見を必ずしも一般化できないと述べている。その上で、「誤嚥性肺炎のリスクが高まる年齢層より若い世代において、会話の時間が少ないことが嚥下機能の低下と有意な関連があることが明らかになった。会話時間は将来の誤嚥性肺炎の予測因子となるのではないか。誤嚥性肺炎のリスク抑制を目的として会話を増やすという介入研究の実施が望まれる」と結論付けている。

 なお、論文中には本研究で示された関連のメカニズムとして、会話をすることが口腔の筋力や認知機能を維持するように働き、嚥下機能の低下を抑制するのではないかとの考察が加えられている。

 また、脂質異常症の該当者が高RSST群で有意に多かった点については、「脂質異常症は脳血管障害のリスク因子であるため、嚥下機能低下と関連すると考えられる。示された結果はそのような理解に反するものだが、嚥下機能が優れている人は食事摂取量が多いことを反映した結果かもしれない」と述べられている。(HealthDay News 2023年12月18日)

Abstract/Full Text
https://www.cureus.com/articles/199933-factors-associated-with-swallowing-function-among-physicians-in-their-50s-and-60s-a-cross-sectional-study#!/

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