インフルエンザでも後遺症が起こり得る
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状、いわゆるlong COVIDでは、さまざまな症状が、数週間や数カ月間、時には何年もの間、続く可能性があることは広く知られている。
こうした中、季節性インフルエンザ(以下、インフルエンザ)でも長期間にわたって症状が持続する「long Flu(ロング・フルー)」が起こり得ることが、米セントルイス・ワシントン大学の臨床疫学者Ziyad Al-Aly氏らが実施した研究で示された。詳細は、「Lancet Infectious Diseases」に12月14日掲載された。
Al-Aly氏らは今回、米国退役軍人省のデータを用いて、2020年3月1日から2022年6月30日の間にCOVID-19により入院した8万1,280人と、2015年10月1日から2019年2月28日の間にインフルエンザにより入院した1万985人のデータを解析。18カ月間の追跡期間中に生じた、体の主要な臓器系に影響を与える94種類の有害な健康アウトカムを両群間で比較した。
解析の結果、全体としてCOVID-19による入院患者ではインフルエンザによる入院患者と比べて、追跡期間中の死亡リスクが51%高く、死亡者は患者100人当たり8.62人多いことが示された。
また、COVID-19による入院患者では、インフルエンザによる入院患者と比べて退院後に再入院するリスクが11%、集中治療室(ICU)入室のリスクが27%高く、再入院となる患者は100人当たり20.50人、ICU入室となる患者は100人当たり9.23人多いことが示された。
さらに、COVID-19による入院患者では、94種類の健康アウトカムのうちの64種類(68.1%)でリスクの上昇が示され、COVID-19はより多くの臓器系にリスクをもたらすことも判明した。一方、インフルエンザによる入院患者でリスク上昇が認められたのは94種類中6種類(6.4%)のみで、その多くは呼吸器系のアウトカムだった。