定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されました。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。

【要注意!】「退職金」と「確定拠出型年金」は同時にもらうと大損する!Photo: Adobe Stock

退職金制度に「確定拠出型年金」があったら節税のチャンス

 あなたは、会社の退職金制度についてちゃんと理解していますか? もし会社の退職金制度に「確定拠出型年金」があった場合、節税のチャンスです。
 退職金の制度は、「退職一時金制度」と「企業年金制度」の2つに分けることができ、「企業年金制度」はさらに3つに分けられます。

【要注意!】「退職金」と「確定拠出型年金」は同時にもらうと大損する!「定年前後のお金の正解 改訂版」より

 退職時にまとまったお金をもらう「退職一時金制度」がいわゆる「退職金」のイメージだと思いますが、現在は、「企業年金制度」だけのところや、「一時金制度」と「企業年金制度」の両方を採用している会社も多くあります。「企業年金制度」といっても、一時金で受け取る選択もできます。

 ところで、企業年金制度の「確定給付型」と「確定拠出型」の違い、ご存じでしょうか?
「確定給付型」は会社側が資金を運用して退職金を準備する制度です。運用がうまくいかなかった場合でも、約束した額の退職金は支払われます。

 一方「確定拠出型」は、会社側が掛金は出しますが、運用は従業員自身が行います。運用がうまくいけば退職金は増え、失敗すると減ります。
 会社側が運用した「退職金」(普通の退職金や確定給付型年金)は、「一時金」として受け取るか「年金型」で受け取るかは選べますが、基本的には「一時金」の受け取り時期を変えることはできません。

 それに対して従業員が運用していた「確定拠出型年金」の退職金は、基本60歳以降75歳までの間で好きな時に受け取ることができます。
 一時金の退職金に加えて、「確定拠出型年金」の退職金もある場合、これをいつどのように受け取るかによって、退職金にかかる税金が大きく変わってきます。

「確定拠出型年金」の退職金は、退職した翌年以降にもらうと30万円以上トク

 確定拠出型年金は、退職一時金をもらった年以降に受け取るとおトクです。具体例で見てみましょう。
 まとめてもらう場合の所得税が66万2500円なのに対し、もらう年を分けた場合の所得税は35万円に下がります! 受け取る年をずらすことでそれぞれに低い税率が適用され、結果として「同じ年に受け取る」よりも税額が小さくなるというわけです。

【要注意!】「退職金」と「確定拠出型年金」は同時にもらうと大損する!「定年前後のお金の正解 改訂版」より


「確定拠出型年金」は運用によって、受取金額も変わりますので、損が出ている時は、受け取らず運用を延長することもできます。
 ただし、一時金と確定拠出型年金の合計額が、退職所得控除額よりも低い場合は、まとめてもらっても税金はかかりませんから、分けてもらう必要はありません。

*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。