「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。AIの答えを妄信する人が迎える残念な末路とは? ライターの照宮氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

AIの答えを妄信する人が迎える残念な末路・ワースト1Photo: Adobe Stock

自信満々なAIの回答

フリーランスになってから、ある税金の支払いが発生した。
経理の仕事をしていたから、これは当然払うものだという認識があった。
あとは帳簿に反映するだけだが、処理方法がわからずAIに聞いてみることにした。

驚いたことに、返ってきた答えは、
「その税金は払わなくていい」
というものだったが、どこか腑に落ちなかった。
でも、AIが自信満々に答えを出してくる以上、もしかしたら自分の認識が古いのかもしれない。

不安になって、結局自分で調べ直すことになった。
本当に払わなくていいのだろうか?

AIを使いこなしている人とそうでない人の差とは?

ビジネスパーソンの生産性向上を長年テーマに据える木下勝寿氏は著書『地頭スイッチ』の中でこう述べている。

自分の頭の中に「だいたいこのくらい」という概算の感覚がなければ、AIの答えが目的からズレ、条件を外していても違和感を持てません。
つまりAIは判断を代行してくれる存在ではなく、判断を助ける道具にすぎないのです。

――『地頭スイッチ』より

調べ直した結果、やはりその税金は払わなければならないものだった。
最初に調べたAIの答えは、間違っていたのだ。

もし経理経験がまったくなく、違和感すら持てなかったとしたら、そのまま鵜呑みにしていたかもしれない。
そして税務調査が来たとき、「AIがそう言ったから」は何の言い訳にもならない。

AIを使いこなしている人と、そうでない人の差は、ツールの操作スキルではなく、AIの答えを受け取ったとき、その情報が正しいか自分で判断できるかどうかだ。

道具に頼る前に、自分の頭を見直そう

AIは道具にすぎない。使いこなすかどうかは、自分次第だ。
どれだけ高度なツールを使っても、判断する力が自分の中になければ、仕事の質は上がらない。AIを使う前に、自分はそれができているか。そう問い直すきっかけを、本書は与えてくれた。