仏像や仏画で私たちが目にしているご神仏のお姿や手に持っているもの、表情などには、それぞれのご神仏が持つご利益などに関連した意味があります。それらの意味を知ることで、今ある願いに最適なご神仏により深く祈ることができるようになります。
ここではそんなご神仏それぞれのご利益などについて、嵐山晶さんの著書『願いをこめて、心身を整える ご神仏なぞるだけ瞑想』から、嵐山さんの繊細で美しいご神仏の「なぞり絵」イラストとともに紹介します。(初出:2023年3月31日)

大日如来©嵐山 晶

どんな願いもかなえる仏様

 大日如来(だいにちにょらい)は、「宇宙そのもの」を表す仏様です。
「大日」とは「大いなる日輪(太陽)」を意味し、真言宗では最高位に位置します。あらゆる仏の頂点に立ち、どんな願いもオールマイティに叶えてくれる心強い仏様です。

 もともと如来は、出家後の僧の姿をしており、仏像も質素な衣服を身に着けているのが一般的です。しかし大日如来は、「諸仏の王」とされていることから、髪を結い上げ、多数の装身具で華やかに身を飾っています。

最高位の仏様だけの蓮華座

 また、大日如来は最高位に位置することから、最も立派(花びらが幾重にも重なり重厚)な蓮華座(れんげざ)に坐しています。
 蓮華は悟りの象徴であり、花弁がしっかりと開いた蓮華座は、まさに悟りを開いた大日如来が坐るべきものと言えます。

横顔が印象的だった仏像

 大日如来像の代表作といえば、奈良・円成寺の運慶作のもの。
 この仏像を博物館で観た時、横からのアングルの圧倒的な量感と、横顔の美しさが印象に残りました。

 宇宙とは、言い換えれば、森羅万象のこと。
 なぞり絵をする際には、私たちを取り巻くすべての事象を司る大日如来に、あなたの願いを伝えるつもりでなぞってみてください。

大日如来©嵐山 晶
文・イラスト:嵐山 晶(らんざん・しょう)
東京都生まれ。日本デザイン専門学校卒。主にアジア圏の歴史文化を題材に、伝統的な図像に現代の感覚を取り入れた作品制作に取り組んでいる。挿絵を担当した書籍に『ときめく御仏図鑑』(山と溪谷社)、『龍神とご縁を結ぶ 「龍使い®」ノート』(宝島社)などがあり、他の活動に谷中西光寺の御朱印イラスト制作などがある。
監修:小瀧宥瑞(こたき・ゆうずい)
高野山真言宗の阿闍梨。牧野山蓮乗院五十三世住職
高野山大学文学部密教学科卒業。高野山真言宗総本山金剛峯寺において得度。高野山真別処円通律寺において受戒。華道高野山一般華・伝統華師範補任。高野山大学加行道場大菩提院において加行成満。高野山宝寿院道場において伝法灌頂入壇了。主に小野方、三宝院流を中心に一流伝授を受け、真言神道、野沢三十六箇流総許可を受ける。

※本稿は、嵐山 晶・著『ご神仏なぞるだけ瞑想』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。