「人格は言葉でつくられる」といわれます。同じことを言っても、好感を持たれる人とそうでない人に分かれるように、発する言葉一つで相手に与える印象が大きく変わるものです。特に最初に発する一言が、相手に対して大きなインパクトを持つものです。今日は、ファーストクラスで出会った言葉で人を魅了するエグゼクティブをご紹介します。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)
基本の「あいさつ」ができない人が大多数
CAとしてフライトをしていると、日々多くのお客さまと出会います。
特に国内線の乗務時は、スケジュールによっては1日に4本のフライトをこなします。1回のフライトで400人のお客さまがご搭乗になると換算すると、単純に1日で約1600人ほどのお客さまと出会うことになります。月に20日勤務すると3万2000人、年間では38万人強のお客さまと出会う計算です。
このように日々多くのお客さまをお出迎えするのですが、ご搭乗時にきちんと声に出してごあいさつされるお客さまは決して多くはありません。こちらが、「おはようございます。ご搭乗ありがとうございます」とあいさつしても、無言でうつむいたり、会釈を返されたりする方が大半です。
そんな状況で、お客さまの方から大きな声で「おはよう!」とごあいさつされる人は、それだけで強く印象に残ります。
あいさつにおけるミスコミュニケーションは、CAとお客さまという場面に限りません。私の現在の本業であるビジネスパーソン向け研修においても、「部下があいさつもしない」と嘆く管理職やリーダーが多いです。しかし、そういうケースは大概上司があいさつをしないことが多いのです。
あいさつは上司・部下関係なく誰に対しても行うものです。部下からあいさつするのが当然で、部下があいさつしないと自分からはしないという態度では、部下があいさつをするわけがありません。また、機嫌がいいときだけするものでもありません。その日の気分次第であいさつをしたりしなかったりするようでは、部下も上司の顔色をうかがって、上司が機嫌のいいときにだけあいさつをするようになるものです。
子どもには「きちんとあいさつをしなさい!」と教育している親が、自分からあいさつをしないと子どももそのうちあいさつをしなくなるのと同じです。あいさつは大切ということを頭では分かっていても、大人になると当たり前のことが当たり前にできなくなる人が多いのです。
そのような状況の中で、相手から放たれる最初のあいさつのひと言はとてもインパクトがあります。何も特別な言葉がけは必要ありません。相手からのあいさつに応えるのではなく、自分から第一声を発するあいさつでいいのです。