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英語が話せるようになるための必須スキルでありながら、学校では教わらない「言い換え力」。このスキルを身に付けられるかどうかは、実は「日本語能力」にかかっている。留学や転勤など実際に英語圏で暮らさなくても、言い換え力を鍛える方法とは?【前後編の前編】(パラプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)

英会話は「言い換え力が」大事

「膨大な量の単語や表現、構文を暗記していないと英語は話せない…」と勘違いしている人は多い。

 もちろん手持ちは多いに越したことはないのだが、的確な語彙を思いつかない、あるいは知らないというのは、どんな上級者になってもあることだ。

 一方で、中学英語そこそこの構文力に高校レベルの基本単語を使い回し、言いたいことを要領よく相手に伝えている人もいる。

 そういう人が英語を話せている秘訣は何か?

 それは、言葉がとっさに思い浮かばない時に、手持ちの語彙や自分でマネージできるレベルの英文に言い換えて自己表現する力、つまり「言い換え力」を身に付けていることだ。

 机上の勉強だけではなく、留学や転勤などで実際に英語圏で暮らすと英会話力がアップするのは、この言い換え力を鍛える環境に身を置くことが最大の理由といってもいい。

「とにかく言い換え続けて相手が分かるまで何としてでも伝えなくては!」

 そういう、いわば崖っぷちの場面を経験する回数が多いほど、言い換え力は鍛えられる。

 だから、語彙や構文の手持ちが少ない人と、語彙が豊富で構文の基礎がしっかりしていている人、そのどちらも英語圏での生活経験を積むと話せるようになるからくりは同じだ。

 ただし、後者が、きちんとした英語を話せるようになっていくのに対し、前者はそのままだとビジネスシーンでは明らかにレベルの低すぎる英語のまま固まってしまう危険がある。

 言い換え力は、英語を話せるようになるための必須スキルでありながら、学校では教わらない。

 では、どうやって身に付けたらいいのだろう。やっぱり留学しないと無理? 英語を話す家族や友人に囲まれる環境が大事?

 答えは「NO」。実は、日本にいても鍛えることは十分可能だ。オンライン英会話などで実践の場をとにかくたくさん設ければいい。

 自分の語彙や構文知識を越えそうな会話をしなければならない状況で、冷や汗をかきながら積極的に話す。そして、言えなかったことをその場で書き留めるなり、録画を見返すなどして、後で調べて言えるようにする。

 ただひたすら、これを積み重ねることだ。

 言い換えた部分については、講師や周囲の人からフィードバックをもらい、的確な言葉や表現を学ぼう。Do you have any other expressions?と、他の言い方はないか確かめる。これを続けていけばいい。

 英語圏で暮らして本当にしっかりと話せるようになる人は、誰もがそうした努力をしている。逆に言えばそうした努力ができない人は、何年住んでも英語が話せるようにはならない。

 さらに記事後編では、実践に加えて「自主トレで加速的に言い換え力を伸ばす方法」を紹介しよう。

>>後編『中学英語で「山田さんは言行一致の人」をどう伝える?コツは“言い換え”【練習問題9問付き】』に続く

>>後編『中学英語で「山田さんは言行一致の人」をどう伝える?コツは“言い換え”【練習問題9問付き】』を読む