多くの人が『人との対話』に苦手意識を抱いている。できればすべてメールですませたいという人すら。残念ながら「人と話すこと」をゼロにはできない。仕事となればなおさら。いったいどうやって克服すればよいのだろう。
答えは実はシンプル、あなたの発するひと言を変えるだけだ。周囲を緊張させたり、気持ちを萎えさせたりするNGな言葉から、その場の空気をあたたかくするひと言、自然な会話を生む言葉へと切り替えてみよう。
そこでいま話題を呼んでいるのが、3万人に「人と話すとき」の対話術を指導してきた人気ファシリテーション塾塾長の中島崇学氏の著書『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言――打ち合わせ、会議、面談、勉強会、雑談でも使える43のフレーズ』だ。
今回は、同書から特別に抜粋。何気なく発したひと言で「雑な人」と思われてしまうリスクについて解説する。

雑なひと言Photo: Adobe Stock

謙虚に問いかけよ、という教え

 アメリカの心理学者エドガー・シャインは、「私たちは3つのことを自分に言い聞かせなければならない」として、

(1) 自分から一方的に話すのを控える
(2)「謙虚に問いかける」という姿勢を学び、相手にもっと質問するように心がける
(3) 傾聴し、相手を認める努力をする

 を挙げています。(*)
 謙虚に問い掛けると、みんなに力を与えられるということです。

不安から出たひと言で「雑な人と思われる」

 ただ、話が進んでいくと、ふと不安になることがあります。
だいぶ進行しちゃったけど、このままで大丈夫なのかな?」と。

 それとは反対に、「ここまで進んだんだから大丈夫!」と安心してしまうのか、「段取りどおりに最後まで押し通そう」と、我が道をばく進するタイプもいます。

 そんな人がつい口にするのが、このひと言。

×「どんどん進めていきますね」

 自信があろうとなかろうと、突き進むのは危険です。

丁寧なひと言

「大事にしてもらっている」と感じるひと言

 まめに小休止を取りましょう。

「ここまでの進め方でいかがでしょうか?」

 進め方について確認されると、参加者はホッと息をつけます。そして「こちらの意向も汲んでくれる」という安心感を抱くのです。また、参加者を大事にしている、理解しようとしているという気持ちも伝わります。

 そのうえ進め方について自分事で考えるので、主体的にもなれます。まさに「参加者の不安が消え、主体的になり、さらにあなたが信頼される」という、一石三鳥になるひと言です。

 参加者を大事にしている、理解しようとしている、という気持ちも伝わります。

*『問いかける技術―確かな人間関係と優れた組織をつくる』(エドガー・H・シャイン、金井壽宏監訳、原賀真紀子訳、英治出版)
**この記事は、『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言――打ち合わせ、会議、面談、勉強会、雑談でも使える43のフレーズ』(ダイヤモンド社刊)を再編集したものです。