「お金をたくさん稼げば幸せになれる」。そう考えている人は少なくないが、果たして本当に「金銭面で豊かなこと=幸せの条件」なのだろうか? 少し立ち止まって考えてみてほしい。
そこで今回は、世界的ベストセラーの邦訳版で、「ここ数年で最高かつ、最も独創的なお金の本」「読んだら人生変わった」と絶賛されている『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』から一部を抜粋・編集して、あなたの人生を「不幸にする仕事」の特徴を解説する。

あなたの人生を「不幸にする仕事」のたった1つの特徴Photo:Adobe Stock

ロックフェラーは「思考=仕事」だった

 現在の米国は、世界史上もっとも豊かな国である。その一方で、その物質的な豊かさに見合うだけの幸福を人々が手に入れているとは思えない。その主な理由は、米国人の多くが就いている仕事の種類と関係している。

 史上屈指の成功を収めた実業家ジョン・D・ロックフェラー(1839-1937)の仕事は、井戸を掘ることでも、列車に荷を積むことでも、樽を運ぶことでもなかった。

 思考し、良い判断を下すのが仕事だった。頭のなかで考えたことが仕事の成果物だったのだ。だからこそ、ロックフェラーは時間と労力の大半を、問題を考え抜くことに費やしていたのである。

 周りから見れば、何もせず悠然と時間を過ごしているように見えたかもしれない。だが、彼は一日の大半を黙って椅子に腰掛けながら、常に頭のなかで何かを考えていたのだ。

「好きに使える時間」を奪う仕事は“不幸の源”になりうる

 現代人は、1950年代の製造業の労働者よりもロックフェラーに近い仕事をしている。つまり、終業時間になって工場を出たら一日の仕事が終わりではない。常に頭の片隅で仕事のことを考え、仕事とプライベートの区切りがないと感じているのだ

 アトランティック誌のデレク・トンプソンは、次のように述べている。

 21世紀の仕事の道具がモバイル機器なのだとしたら、現代の「工場」は場所ではなく、私たちが過ごしている一日という時間そのものである。

 コンピューター時代の到来とともに、生産性向上のための道具がオフィスから解放された。ポータブルで万能なノートパソコンやスマートフォンを携帯する知識労働者は、午後2時にメインオフィスにいても、午前2時に東京の「WeWork」にいても、真夜中に自宅のソファに座っていても、理論上は同じように生産性を上げられるようになったのである。

 一昔前に比べて、現代人は自分の時間をコントロールできなくなっている。そして時間を好きに使えないことは、幸福度に大きな影響を与える

 1950年に比べれば、勤務時間はわずかに短くなったのかもしれない。だがその一方で、24時間365日、休まず働いている状態だとも言えるのだ。

 だから、かつてないほど豊かになった人々が、あまり幸せを感じていないのも無理はない

(本稿は、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』の一部を抜粋・編集したものです)