日本の脳死移植は欧米の「50分の1」、“世間”に根差した提供者が増えない2つの理由日本では移植の待機年数が長く、移植希望者に対して提供者が圧倒的に足りていない。脳死移植が始まってすでに26年ほどたつが、なぜこれほどまでに少なく、提供者がほとんど増えないのか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

100万人当たりの臓器提供者数
日本は0.88人、米国は44.50人

 日本で臓器移植のための脳死判定が、2023年10月末に1000例を超えたそうだ。

 脳死者からの臓器移植を認めた臓器移植法が1997年に施行されたが、当初は臓器提供件数が年間4~13件と極めて少なかったため、本人が拒否していない限り家族の同意だけで臓器提供を可能とする改正臓器移植法が10年に施行された。

 つまり、本人が提供の意思を表明していなくとも、生前にイヤだと言っていない限り、家族が承諾を与えることができるようになったため、臓器提供も次第に増え、昨年は初めて100件を超えた。

 とはいえ、欧米と比較するとその数は極端に少ない。例えば22年のデータで、100万人当たりの臓器提供者数は、日本が0.88人なのに対して、スペインは46.03人、アメリカが44.50人、フランスが24.70人、イギリスが21.08人、ドイツが10.34人。提供者の意思表示について制度の違いは若干あるにしても、欧米諸国のなんと50分の1か10分の1程度と差がある。

 それゆえ、日本では移植の待機年数が長く、移植希望者に対して提供者が圧倒的に足りていない。脳死移植が始まってすでに26年ほどたつが、なぜこれほどまでに少なく、提供者がほとんど増えないのか?

 それには、根深い問題がある。