ひとり終活大全#13Photo:fstop123/gettyimages

自分が亡くなった後、医学部や歯学部における解剖学の教育・研究のために、無条件・無報酬で遺体を提供する「献体」。登録数は年間3000件程度だ。今、献体を希望するおひとりさまが増えている。いったいなぜか。特集『ひとり終活大全』(全24回)の#13は、おひとりさまが献体を希望する理由を探った。(ライター 古井一匡)

「週刊ダイヤモンド」2022年7月16日・23日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

献体された遺体は解剖学実習の後は大学で火葬
遺族に遺骨が返還されるまでには2~3年

「お墓のために献体されるケースはお断りしています」

 取材中、ある大学関係者から聞いた言葉である。

「献体」とは自分が亡くなった後、遺体を医学部や歯学部における解剖学の教育・研究のために無条件・無報酬で提供することだ。

 献体を行うには、生前に献体したい大学や関連団体に登録する。その際、親族(配偶者・親・きょうだい・子・孫など)の同意書が必要だが、最近は身寄りのない人であっても死後事務委任者がいれば受け付けてくれるケースもある。

 献体登録した人が亡くなり、連絡すると大学などが遺体を引き取る。ただし、交通事故などで損傷があるとき、臓器提供したとき、司法解剖もしくは病理解剖されたとき、遠方で亡くなったときなどは、引き取りを断られる。

 献体された遺体が解剖学実習で利用された後は大学で火葬し、遺族に遺骨が返還されるが、それまで2~3年程度かかる。

 なぜ献体を希望するおひとりさまが増えているのか。