私たちはふだん、人体や病気のメカニズムについて、あまり深く知らずに生活しています。医学についての知識は、学校の理科の授業を除けば、学ぶ機会がほとんどありません。しかし、自分や家族が病気にかかったり、怪我をしたりしたときには、医学や医療情報のリテラシーが問われます。また、様々な疾患の予防にも、医学に関する正確な知識に基づく行動が不可欠です。
そこで今回は、21万部を突破したベストセラーシリーズの最新刊『すばらしい医学』著者・山本健人氏(医師・医学博士)にご登壇いただいた、本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)のQ&Aセッションの模様をお届けします。(構成/根本隼)

病気やケガをしたとき「どの科に行けばいいか」が一発でわかる早見表Photo:Adobe Stock

ひと目でわかる「各診療科の違い」

読者からの質問 外科と整形外科の区別がつきません。何が違うのでしょうか?

山本健人氏 各科の専門領域は細かく分化しているので、「どの科の診療に当たればいいのか全然わからない」という人は多いです。

 まず、内科と外科が「分かれている領域」と「分かれていない領域」があります。

病気やケガをしたとき「どの科に行けばいいか」が一発でわかる早見表

 内科と外科が「分かれている領域」は全部で7つあります。それぞれ、内科的な治療(手術以外の治療)と、外科的治療(手術を行なう治療)をする担当に分かれます。

 しかし、「循環器内科と心臓血管外科」、「腎臓内科と泌尿器科」、「皮膚科と形成外科」は同じ領域における内科・外科という対応関係にありますが、名称が全然違うのでわかりにくいですね。

 なお、単に「外科」というときは、一般的には消化器外科を指します。消化器外科は「一般外科」と呼ばれている病院も多く、腹から胸まで全般的に診るからです。

病気やケガをしたとき「どの科に行けばいいか」が一発でわかる早見表

 内科と外科が「分かれていない領域」は6つあります。筋肉と骨格の専門家である「整形外科」は、外科という名前がついていますが、内科的な治療も行ないます。乳腺外科も同様です。名前だけでは分かりにくいですよね。

 いわゆる「外科」と「整形外科」とでは、診る対象が全然違うということがおわかりいただけたかと思います。

病気やケガをしたとき「どの科に行けばいいか」が一発でわかる早見表

 さらに、外科がなく、内科しかない領域もあります。これは、手術で治せない病気を診る科です。たとえば、内分泌内科や糖尿病内科、精神科などがあります(もちろん例外もあります)。

 このように分けると理解しやすいので、どの診療科に行けばいいか迷ったときは参考にしてみてください。

(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『すばらしい医学』刊行記念セミナーで寄せられた質問への、著者・山本健人氏の回答です)