調剤薬局最大手であるアインホールディングスにアクティビスト(物言う株主)の外圧がのしかかり、買い手側から身売り側に回る事態に陥っている。2位の日本調剤もこれを涼しい顔で眺めてはいられない。特集『薬局・薬剤師 サバイバルダンス』(全24回)の#3では、日本調剤も身売り側に回り得る“のっぴきならない”事情に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
日本調剤2代連続で
社長が唐突に退任
調剤薬局チェーン2位である日本調剤の社長が5月1日、急きょ交代した。創業者長男の三津原庸介氏(48歳)が健康上の理由で代表取締役社長を退任し、銀行出身の笠井直人氏(61歳)が後任となったのだ。
振り返れば5年前、庸介氏の社長就任も唐突だった。創業社長だった三津原博氏(75歳)が「一身上の都合」を理由に辞任し、2代目が引き継いだ。これについてはその後、自社株買いが公表される前に知人へ株式購入を推奨するインサイダー取引を疑われたことが明らかになり、課徴金支払い命令を受けている。
今回の庸介氏退任に関しては、かねて健康不安が周囲に漏れ伝わっていた。と同時に、日本調剤が業界再編において買収する側から「身売りする側」に回る可能性がささやかれるようになっていた。
調剤薬局チェーン1位のアインホールディングス(HD)が目下、株式保有比率を増やしたアクティビスト(物言う株主)によるプレッシャーで身売り側に回り得る事態に陥っているが、日本調剤も人ごとではないのだ。
次ページでは、アインHDだけでなく日本調剤までも身売り側に回り得る“のっぴきならない”事情を明らかにする。