ヤマト運輸Photo:Diamond

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はSGホールディングス、ヤマトホールディングスの「物流」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

佐川急便もヤマトも減収
4月からドライバーの残業規制も

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の物流業界2社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(2社の対象期間はいずれも23年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・SGホールディングス(佐川急便)
 増収率:マイナス3.4%(四半期の営業収益3519億円)
・ヤマトホールディングス
 増収率:マイナス2.3%(四半期の営業収益5002億円)

 物流業界の主要2社はともに減収だった。

 24年4月から適用されるトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制、いわゆる「2024年問題」がまもなくスタートするが、物流業界では値上げや業務効率化の動きが激しくなっている。さらに世界的なインフレの影響の他、宅配便の取扱個数が減るなど、2社共に苦境を迎えている。

 次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、各社の業績について詳しく解説する。